クラブ名やクラブカラーよりも大切なもの 私が福井ユナイテッドFCを取材した理由
日本の多くのサッカーファンが、横浜F・マリノスとマンチェスター・シティの「華試合」に注目していた頃、私はひとり越前の地を目指していた。北信越リーグ1部所属、サウルコス福井改め、福井ユナイテッドFCを現地取材するためである。周知のとおり、紙メディアは明日無き撤退戦を繰り返しており、ネットメディアもまた「数字が正義」となって久しい昨今。そんな時代だからこそ、アンダーカテゴリーのクラブをじっくり取材して、納得いく形で発表できる個人メディアの存在は貴重である。
そんなことを考えながら、日曜日にテクノポート福井にて久々に北信越リーグを取材した。福井ユナイテッドの相手は、上田ジェンシャン。上田といえば、映画『クラシコ』をご覧になった方ならピンと来るはずだ。AC長野パルセイロと松本山雅FCによる信州ダービーを描いた同作品では、少人数ながらも熱量のある応援を続けていた、上田サポーターたちの描写が実に印象的であった。しかし当日のテクノポートには、サポーターの姿も紫の横断幕も見ることはなかった。
映画『クラシコ』といえば、もうひとつ。ファーストシーンは、恐竜の着包みを来た女の子を含む、少数精鋭の福井サポーターが登場する。撮影されたのは2009年で、いわゆる「地獄の北信越」の時代。あれから10年、上田と福井は今も北信越にとどまり続けている。しかし上田はサポの姿は見えず、福井もサウルコスの名を捨て去り、クラブカラーもグリーンからブルーに変わった。何もかもが変わった『クラシコ』から10年後の北信越。とりわけ福井の激変ぶりは、話に聞いていた以上に衝撃的であった。
(残り 2247文字/全文: 2923文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ