宇都宮徹壱ウェブマガジン

ロシアでの感動とTOKYO2020への不安
 ボランティアスタッフ募集に関して思うこと(※追記あり)

 現在、インドネシアで開催されているアジア大会に関して、地元ボランティアに関する記事がtwitter上で話題になった(参照)。内容を要約すると、1万5000人のボランティアスタッフに対して、30万ルピア(約2300円)の日当が支給されている、というもの。これは現地の最低賃金を大きく上回る「破格の待遇」なのだそうだ。なぜ、この記事が話題になったかと言えば、2年後の東京五輪・パラリンピックのボランティアが「無償」となっていることへのアンチテーゼとなったからである。

 TOKYO2020では、8万人のボランティアが必要とされている。募集が始まるのは9月中旬だが、募集要項はすでに発表されている(参照)。これによると、ボランティア活動は「1日8時間」「合計10日以上」となっており、交通費や宿泊費は自己負担。ただし、滞在先から会場までの交通費については、一定額相当分の物品などを提供するとしている。また、条件のひとつに「2002年4月1日以前に生まれた人」とあり、18歳以上の大学生を主力と見込んでいることが透けて見える。

 それにしても、これだけ難しい条件の中、果たして8万人ものボランティアを集めることは可能なのだろうか。文部科学省は先月、大会日程に配慮して2年後の授業スケジュールを作成するよう通知を出している(参照)。要するに「学生がボランティアに参加しやすいように配慮しろ」ということなのだろう。当然ながら現場の教職員から「まるで学徒動員ではないか!」という反発がSNS上で散見された。また(誰の仕業かわからないが)、ボランティア参加のステマと思しき書き込みも話題になったこのようにボランティア集めに関しては、主催者側の焦燥感ばかりがクローズアップされる、非常に残念な展開となっている。

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