宇都宮徹壱ウェブマガジン

過去記事:2013東アジアカップ備忘録/コラムに触れられなかったソウルでの日々(前篇)[2013年07月31日号(通巻第157号)掲載]

東アジアカップ取材中のソウルでの日々を、今号と次号の2回にわたり淡々と綴ってゆく。とはいえ巻頭コラムでも書いたとおり、基本的に練習場もしくはスタジアムとホテルの往復の日々なので、さしてスリリングな話はない。以下、取材先で感じたこと、そしてソウルでの日常で考えたことなどを備忘録として記しておく。

【7月19日(金)】

ソウルに向けて出発の日。この日は羽田初8時30分のフライトだったので、中央線の最寄り駅から始発に乗る。このところ国内外での出張取材が続いているので、今回は「まあ、大丈夫だろう」という感じで、出発直前まで荷造りをしていなかった。そんな気の緩みから重大な忘れ物をしてしまったら目も当てられないのだが、パスポートとエアチケット、そしてPCとカメラとクレジットカードさえあれば、とりあえず何とかなる。絶対に忘れてはならないものだけチェックしてから、カミサンにしばしの別れを告げて出発。

さすがに始発ということで、電車にはゆったり座ることができた。さっそくPCを広げて、徹マガ155号の原稿執筆にとりかかる。本当は出発前にすべて入稿しておきたかったのだが、相変わらずの後手後手になってしまい、読者の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。羽田に着くまでは作業に没頭できたのだが、その後はボーディングまでに間、すっかりまどろんでしまった。考えてみれば、昨夜は3時間しか仮眠できなかった。

(C)Tete_Utsunomiya

 JALとKALのコードシェア便は、わずか1時間50分でソウル金浦空港に到着。韓国を訪れるのは3年ぶりだが、いつも「国内旅行の延長」という感覚が拭えない(つい最近、札幌取材に行ったのでなおさらである)。入国審査のおじさんは、写真撮影の際に「はい、まっすぐカメラを向いて」と日本語で語りかけてくれた。空港内も地下鉄も、こちらが想像していた以上に日本語があふれている。このところ領土や歴史認識をめぐって、政治的には近年になく緊張関係が続いている日本と韓国だが、お互いの「腐れ縁」はそうそう断ち切れるものでもあるまい。

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