【グラスルーツ】百聞は一見に如かずが持つ力は本当にすごい。ドイツとオランダのグラスルーツ研修で参加者が出会ったもの②

ピッチを射抜くこの目力。CL?ブンデスリーガのトップゲーム?いえいえ、ドイツの4部リーグです
▼ ドイツ・オランダ研修ツアー振り返り②
2017年から池上正さんが行っているドイツグラスルーツサッカー研修ツアーで現地アテンドを担当させてもらっている。この研修一番の目的はグラスルーツにおけるドイツのサッカーへの取り組みを実際に間近で感じてもらうこと。
昨今、様々な情報を手に入れることができる。僕にしても、池上さんにしても自身の本の中で、あるいはいろんな媒体でのコラムを通して、「現場はどうあるべきか」を伝え続けている。全国を回って各地で講演会や指導実践を繰り返している。それぞれの会場にはいつも多くの方々が足を運んでくれるし、「なるほど!確かにその通りだ」と感銘を受けて、実際に自クラブで積極的に行動されている方々も間違いなく一定数いる。
そんな方々でも、実際に現地で体感することの衝撃はとても大きい。どれだけ言葉を重ねても、どれだけ写真や動画を見せても、現地でその空気を感じること以上に揺さぶられるものはない。
《研修》《視察》ということでドイツをはじめ、欧州各国に足を運んでいる人は少なくない。でもトップトップのブンデスリーガの施設や練習・試合を見学して「すごい!すごい!」と感嘆するだけではなく、グラスルーツにおけるドイツサッカークラブのあり方、育成年代でのサッカートレーニングと試合環境、それに対してドイツ社会がどんな関わりをしているのか、育成指導者をどのように育んでいこうとしているのか、というところまで掘り下げて見れるプログラムはそうはない。
そうした観点からも池上さんと企画しているこの研修プログラムには大きな意味と価値と将来性を感じている。

4部でこの日の観衆は5000人ほど
▼ 4部リーグの試合を観戦
ケルンで行われたフォルトゥナ・ケルンとボルシアMGのU23との試合観戦にみんなでいった。
ドイツでは1部から3部までがブンデスリーガと呼ばれ、プロリーグになる。3部リーグの平均月収が1万ユーロ。日本円に直すと160万円!!年俸で約1900万円にもなる。4部でも一部には月収6500ユーロ、100万円を稼ぎ出す選手もいたりする。プロ感がすごい。
4部というと多くの人は大したレベルじゃないというかもしれないが、そんなことはない。4部-6部はセミプロとして活動しているクラブが多く、元ブンデスリーガの選手やブンデスリーガの下部組織でプレーしていた選手がこのランクにはたくさんいる。ドルトムント、シュツットガルト、そしてハノーファーのU23チームだけが3部リーグに所属し、そのほかは大体4部。
ボルシアMGのU23では福田師王がプレーしているし、ブレーメンのU23には日本パリオリンピック代表の佐藤恵允がいて、トップチーム昇格を目指して切磋琢磨している。
4部に所属するマインツU-23でコーチを務めるシモン・ペッシュは「U-19ブンデスリーガでプレーしているだけで、自分があたかもトップレベルだと勘違いをする選手が出てきてしまうが、実際のリーグのレベルで考えるなら、U-19ブンデスリーガよりも大人の4部リーグのほうが間違いなく上」と話してくれたことがある。
育成年代というのは同年代の選手とプレーをするが、U-19以降はそうした年代のくくりがない。各年代のトップレベルの選手が残り、しのぎを削る戦いがそこにはある。フィジカルコンタクトだけではなく、試合の流れ、ボールをめぐる駆け引きなどで大きな差が出る。
U-19から上がってきた選手はそこで適応し、順応するだけではなく、その中で違いを生み出せるようになれなければ、トップチームへの扉は開かれない。
ブンデスリーガクラブにおける「セカンドチーム」の存在意義とは? U-23→トップ昇格の上月壮一郎が示した選択肢
この試合でも4部で首位争いを展開するフォルトゥナ・ケルンは若いボルシアMGのU23相手に主導権を握り、4-2で快勝。スタジアムでは熱狂的なファンもいれば、子連れのファンもいたり、多種多様。
ドイツのスタジアムには欠かせない焼きソーセージとビールはもちろんある。そしてどちらももれなく美味しい。1部だから見に行くというわけではない。サッカーがあれば足を運ぶのだ。

幼稚園児がパパとスタジアム観戦。こうやってみんなサッカーと生きる毎日を日常化していくのだ。
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