【インタビュー】RBグループサッカー部門ヘッドとして新しい挑戦を決めたクロップが国際コーチ会議で語っていたこと②
前回記事:RBグループサッカー部門ヘッドとして新しい挑戦を決めたクロップが国際コーチ会議で語っていたこと①
▼ クロップの名言
指導者として自分の長所を武器にしていくというのは一つ大事なテーマになるが、それと並んで重要になるのは、自分にはない強みを持つほかの指導者や専門家と協力するということだ。
それこそユルゲン・クロップが次のように話していたことがある。
「自分一人でトレーニングをして、すべてを指揮しなければならないとなったら、私はミスばかりをしてしまうだろう。自分にはわからないことがたくさんあるんだ。
わからないことは調べたり、それでもわからなければ専門家を頼ればいい。一番悪いのはわからないこと、できないことを、そのままにしてしまうことではないか」
協力し合ってよりよい解決策を探り出そうとする環境を作れる指導者はお互いに成長できる環境を作れる存在ということになる。
そうしたプロセスを経て、自分自身の経験値も増し、成長することができる。
それこそいま僕自身所属クラブではそうした協力体制がないなかで奮闘しているが、一人でもできることが増える以上に、一人ではできないことの多さに改めて気づかされる毎日だ。
1人でチーム全体に目を配り、トレーニングを行い、試合に帯同する中でできるのは、インテンシティやクオリティの低下をできるだけ和らげることがメインとなり、チーム全体のクオリティアップや個々の成長へのアプローチは極めて難しい。
切実にサポートしてくれるコーチやスタッフのありがたさを親身に感じている。
さて、今回はクロップが語るヨーロッパ選手権とドイツサッカー、そしてクロップ流コミュニケーションの取り方についての話になる。
時代の変化がある中で、クロップが育成現場についてどんな考えを持っているのか、人心掌握がすごいといわれるけど、本人はどのように受け止めているのか。
サッカーだけではなく、人生全般に通じる言葉の数々を楽しんでいただきたい。
―――ヨーロッパ選手権は?
「多くの試合を見たよ。ほとんどはテレビ観戦だった。グループリーグで3試合チケットがあったけど、開幕戦だけ見にいけたんだ。実はちょっと体調を崩してしまってね。休暇モードに慣れていないのかも(苦笑)」
―――素朴な質問なんですが、指導者目線になることなく試合を楽しめるものなのですか?
「もちろんだよ。そもそもサッカーというスポーツは、自分が関与しないと何もすることができないゲーム。
私は監督のインストラクターでもない。サッカーはボールをゴールに入れるかどうかのゲームだよ。試合がどう動いているのかすべてを説明することもない。
でも私と一緒に試合を見る人は、私からなにを聞けるのかを期待している(苦笑)。もちろん誰かに尋ねられて、私に時間があって、そのシーンを見ていたら、ディスカッションすることはできるけどね」
―――それでも今大会の総括をお聞きしたいです。
「ドイツ人としての視点からすると代表チームのパフォーマンスには幸せな気持ちにさせてもらった。あそこで敗退したのはとても不幸せなことだった(ベスト16でスペインに延長戦の末1-2で敗れた)
本当の決勝戦はドイツ対スペインだったはずだと思うんだ」
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