【現地取材】絶対王者アヤックスに何が起こった?クラブの構造軸が狂うとどんなところでも崩壊の危機に即す
▼ アヤックスがリーグ最下位に?!
アヤックスはオランダにおける絶対王者だ。
オランダサッカー界はアヤックスを中心に動いてきたといっても過言ではない。オランダサッカー協会の取り組みのベースにもアヤックス哲学があるし、世界的にみてもその若手育成のハイクオリティさには定評があり、ここから排出された数々の選手が世界トップレベルのクラブで主軸と活躍してきた。
ファンバステン、グーリット、ライカールト、クライファート、ファンデルファールト、デヨンク、デリフト、セードルフ、ダービッツ、オーフェルマルス、デブール兄弟、ファンデルサール。
数え上げたらきりがない。
クラブとしての戦績にも誇らしいものが並ぶ。最近では2019年5月CL決勝に進出したクラブだ。あと少しのところでトットナムに敗れ優勝こそ逃したが、だがそこで披露されたサッカーはとても洗練され、魅力あふれるものだった。
世界のサッカーファンは《アヤックスサッカー》の素晴らしさを堪能したものだ。
だが、まさかその4年半後にここまでの不振に苦しむなんて。
どんなクラブでも不調に陥ることはある。思い通りの戦績を上がられないことはある。
とはいえ、リーグ内ではクラブとしての絶対的な戦力差というのは確かに存在する。抱えている選手のクオリティがあまりにも違う。それこそドイツのブンデスリーガでバイエルンがどれだけ調子を落としたとしても、CL出場権を獲得できないなんてことは起きないはず。
長いリーグ戦でいろんなことが絡まり合って、例えばアウグスブルクやボーフムに敗れるということは単発的にはあっても、シーズン後に彼らより下の順位で終わるなんてことは考えられない。
各国における絶対的な王者がCLどころかEL出場権も取れず、さらには残留争いに苦しむなんてとても現実的なこととは思えない。
でもそんな想像もできないことがオランダでは現実となってしまったのだ。
シーズン前にオランダリーグで最下位に沈むなんてことを言う人がいたら誰が信じるだろうか。あのアヤックスがここまで深く谷底へ落ち込むことは過去に例がないのだから。
アヤックスの公式戦10試合連続未勝利でリーグ最下位という事態はなぜ起こってしまったのか。
その大きなターニングポイントは2022年2月6日だとされている。
この日何が起こったのか。なぜそこまで明確な日付を出すことができるのか。
それはこの日がスポーツディレクターだったマルク・オーフェルマルスが辞任を表明した日なのだ。
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