【きちルポ】プロの世界では監督交代は日常茶飯事。でも人間関係が作り上げた絆はなくならない
▼ 監督とクラブの結びつき
どのスポーツにおいても世界中のどこであっても、プロクラブではチームの戦績が最優先されるのが常だ。
それこそ1部残留か2部降格かはその後のクラブ経営・運営に多大な影響を与えることなので、どれだけ育成に力を注ぎ、選手を大事に育てようとするクラブであっても、トップチームにおいてはあくまでも戦績が求められる。
ホッフェンハイムでイノベーション部門のチーフを務めていたラファエル・ホフナーがこんな話をしてくれたことがあった。クラブの育成哲学についてのディスカッションをしたうえで、結果というのをクラブとしてどのくらい重要視して取り組むべきなのか、というテーマに移った時だ。
ホフナー「そのテーマに関してはプロチームと育成部とで分けて考えなければならない。育成部では結果にこだわりすぎずに、自分たちの哲学に沿って100%取り組んでいくことを大事にしている。U12からU23まで、育成指導者間でそうした考えがしっかりと共有できていないといけない
ただプロチームはシーズンの時期やチーム状況にもよって結果との向き合い方も変わってくる。今私たちは17位という順位にいる。そんな時に魅力的なサッカーに取り組むのは間違った方向なんだ。クラブが1部残留を果たすための監督として経験豊富でチームに新しいエネルギーを投入できるフープ・シュテフェンスを召集したのはそのためだし、これはクラブにとって大事なことなんだ。」
どれだけ貢献度が高い監督でもチームの調子が下降線をたどれば、監督の言葉がチームに届かない、何をやろうにもポジティブな雰囲気が出てこない、という状況になってしまう。そうした中ではチームとしてのダイナニズムが生まれてこない。
どれだけ本人がクラブへの愛を口にしても、首脳陣が「監督への信頼はゆるぎない」と支えようとしても、どこかで苦渋の決断が下されなければならないときはある。
そんななか、マインツで起きた監督交代はこれまでの交代劇とは違う何かがあった。
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