【対談】ヘルタ育成部長パブロ・ティアムを聞いてみた③「サッカー以外にも楽しめることがたくさんある現代。それが子どもたちの毎日の幸せにつながっているかを考えなければならない」
▼ 子供たちが子供たちらしく遊べる環境があるか?
子どもたちがどんな環境で育つのかはとても決定的に大切な要素になる。ドイツでも頻繁にディスカッションがされ、指摘されているのが、《子どもたちだけでストリートサッカーができる環境がどんどんなくなってきている》という点。
ドイツの場合だと場所はある。十分にある。でもできないのは、そのための時間や関係性がない社会的な問題があるからだ。
以前であれば公園に子どもたちが集まって、自然発生的にサッカーが始まって、自分達でチームを分けて、疲れ果てるまで夢中になってボールを追う。そんな光景がどこにでも広がっていた。
でも今日は違う。そして社会的な問題として、スマートフォンの普及をあげないわけにはいかない。確かにメッセージのやり取りはとてもスムーズにすぐとれるようになった。でもSNSでのコンタクトが増えれば増えるほど、現実社会でのコミュニケーションがどんどん少なくなり、どのようにほかの子とコンタクト・コミュニケーションを取ればいいのかわからない子が増えてきている。
だから場所さえあればそれでいい訳ではなく、それこそ子どもたちが安全にサッカーできる環境をサッカークラブや協会が少なからずサポートする必要さえも出てきている。
僕が所属しているクラブでも週に60分《ニューカマーサッカー》という時間を作り、サッカーをやってみたい子どもがだれでも参加できる活動を行っている。
そうやって入り口を作り、コンタクトしやすいサポートは今後スポーツクラブにどんどん求められる点ではないだろうか。
ヘルタ育成部長パブロ・ティアムもうなづきながらそんな僕の話を聞いていた。
ティアム「本当にそうだと思います。そしてその点において、ベルリンはメリットを抱えている街だといえます。ここにはまだまだたくさんのストリートサッカーを楽しんでいる子どもたちがいるし、《ケーフィフィ》と呼ばれる金網で囲まれたミニサッカー場がいろんなところにあります。
そこでは様々な社会層の、様々なルーツの子どもたちが集まり、そこで自然にみんなでサッカーをしているんです。
ベルリンは大きいし、いろんな地域があります。その中で数多くの育成チームがあって、それぞれの取り組みでダイヤの原石がサッカーと向き合う環境を作り出しているといえるでしょう。
子どものころから様々な関わり合いができるというのは、とても大切なことなんです」
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