中野吉之伴フッスバルラボ

【育成論】現実と理想が違くたって、やるべきことに立ち向かう。小さな町クラブでもできることはたくさんある

目次—
▼クラブ哲学は何のため?
▼小さな町クラブでもできること
▼優勝しても去ってしまう選手たち
▼解釈を見誤らないで。悪いから出ていくわけじゃない

※ フットボリスタから転載

▼ クラブ哲学は何のため?

「クラブ哲学やクラブコンセプトを持つことが重要だ」

そういったことはよく聞かれるし、クラブ関係者や指導者に尋ねると「やっぱりクラブとして明確な哲学やコンセプトがあることは大事ですよね!」と話してくれる人が多い。

でも、実際にどれくらい《明確に》《実際に》クラブ哲学やクラブコンセプトというものがまとめられて、実践されているのだろうか?

クラブホームページをのぞいてみると「おぉ、素晴らしいことが書いてある!」と感動させられるほど丁寧に整理されているのだが、実際に練習や試合を見学すると「あれ?僕は何か間違ったページを見ていたのかな?」と小首をかしげ続けなければならないほど、まったく明記されてある哲学やコンセプトとはほど遠い指導がされてたり。そんなことに結構な頻度で遭遇する。

「理想と現実は違う」なんて言葉は誰でも口にできるけど、だからって理想を投げ出して何をやってもいいなんてわけはない。何のために哲学やコンセプトをまとめる必要があるのか。どうやって浸透させていくことが望ましいのか。

そこへの挑戦なくして、一貫性のある指導を継続的に行うのは困難でしかない。

哲学やコンセプトだからとすべてを小難しく考えてしまったり、自分たちのキャパシティを考慮せずにすべてを盛り込んでしまったらやっぱりうまくはいかない。

自分たちの立ち位置を理解して、できるキャパシティを把握して、自分達が大事にすべき指針を明確にして行くことが望ましい。

今回は、僕がフライブルクにある小さな街クラブ、SVホッホドルフで取り組んでいるクラブ哲学やコンセプト作りについて紹介したいと思う。

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