中野吉之伴フッスバルラボ

【無料コラム】クリスマスツリーは本物のモミの木で。ドイツのツリー事情

こんにちは!水曜更新の無料コラム「ゆきラボ」担当のゆきのです。

「これ以上医療機関に負荷をかけられない」「でも全面ロックダウンは最後の最後まで回避したい」というあの手この手のコロナ対策の結果、今週に入ってからドイツ国内の新規感染者数はようやく減少傾向を見せ始めました。といっても、多いときで一日7万人を超えていた新規感染者が2~3万程度に減ったという状況なので、相変わらず油断はできない状態ではあります。オミクロン株がどの程度広まってしまうのかも引き続き心配なところです。

そんな中ではありますが、今日は久しぶりにコロナと全然関係ないクリスマスツリーの話題を書きたいと思います。

【無料コラム】ドイツ人が考える「健康で文化的な最低限度の生活」の話

前回のコラムで、「クリスマスツリーは12月の生活必需品と見なされるので、クリスマスツリー屋の営業はコロナ規制の影響を受けない」という話を書きました。
12月の中旬頃から、ドイツではホームセンターやスーパーマーケットの駐車場、公園や広場の一角などを利用して、クリスマス直前の23日頃までクリスマスツリー屋がオープンします。

 

売られているのは、山林から切り出したばかりのモミの生木。クリスマスまで残り2週間を切った先日月曜日、我が家もクリスマスツリー屋に行って、高さ2メートルほどのツリーを購入してきました。

フェンスで囲まれた一角に入ると、中は森のよう。針葉樹の良い香りが立ち込めています。切り出された木は高さや枝ぶりなどで価格が異なり、一般家庭のリビングに置く高さ2メートル前後のものであれば、だいたい20~30ユーロ程度(2700~4000円くらい)が相場でしょうか。

 

購入すると、運びやすいようにたいていこのようにネットで包んでくれます。

こちらはクリスマスツリースタンド。持ち帰ったツリーを中心に立てて、レバーを下げると、ワイヤが締まって木の幹を固定してくれます。木への水分補給と、重しの役割も兼ねて、中はタンクのようになっており、水をたっぷり注いで使います。スタンドにツリーを立てたら、ネットを外して、あとは思い思いのオーナメントでデコレーションするだけです。

少しは水をやれるとはいえ、根のないモミの木ですから、あまり前もって購入してしまうと、クリスマス前にどんどん葉が散ってきてしまいます。ショッピングモールや街の広場などに飾り付けられるツリーは早めに設置されますが、家庭やオフィス、学校や園などに飾られるツリーは、12月の中旬くらいにお目見えすることが多いようです。

毎年ドイツ中のあらゆる場所に飾られるクリスマスツリー。毎年そのたびに膨大な量の生木を切り出すなんて、環境に対する影響はないの?と思われるかもしれませんが、実はこれらのモミの木は、クリスマスツリー用に計画的に植林されたもの。農家にも米農家、果樹農家、野菜農家などがあるように、クリスマスツリーを扱う農家もあって、数年先の出荷量を見越してモミの苗木を植え、出荷まで時間をかけて大切に育てています。

冬でもみずみずしい緑の葉をつけるモミの木ですが、実は夏の暑さや乾燥にはとても弱いのだそう。昨今の地球温暖化の影響で、夏の気温が上がったり、雨が不足したりすると、モミの若木は夏を越せずに枯れてしまったり、病害虫に食い荒らされてしまうこともあるのだそうです。

豊かな森に囲まれたここフライブルクでは、地元の山林から切り出されたモミの木が簡単に手に入りますが、近年はより安価な東欧からのモミの木も出回っています。ただ「遠方から枝葉のついたままの木を大量に運んでくることで、この地域にもともといなかった害虫や病原菌、他の植物の胞子や花粉が一緒に運ばれてくることがある。長時間の輸送や遠方での販売に耐えられるよう、事前に大量の化学肥料や農薬が木に散布されている場合もある。地元産のモミの木を選んでほしい」と、地元の農家の方がコメントしていました。

モミの木が家にやってくると、リビングが新鮮な木の匂いでいっぱいになります。今年はどんな風に飾り付けましょうか。その前に、クリスマス前の仕事の山を片付けなくては……

今週のゆきラボもお読みくださりありがとうございました。次週は年内最後のゆきラボになる予定です。どうぞお楽しみに。

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