中野吉之伴フッスバルラボ

【対談】スーパーリーグ対チャンピオンズリーグ構想から考えたい。試合にクオリティがなければエンターテイメント性を提供することはできない

▼ 宇都宮徹壱さんと中村武彦さんとの特別対談!

先日《欧州スーパーリーグ構想はなんだったんだ?》というテーマに関して、いつもお世話になっている宇都宮徹壱さんのウェブマガジンとのコラボ企画として、ニューヨーク在住の中村武彦さんとZOOM対談をさせていただいた。

ドイツから、アメリカから、日本からという視点の違いに加え、それぞれのサッカーへの関わり方、感じ方が絡み合ったとても興味深いやりとりだった。

スーパーリーグとチャンピオンズリーグリフォームに関するまとめとドイツ国内の反応に関しては先日僕のコラムでも取り上げたので、《そもそもなにでもめてるの?》というところを知りたい方はまずそちらをチェックしてほしい。

【ドイツ便り】スーパーリーグ新設に対してドイツクラブはみな反対意見を表明。コロナ禍で難しい今だからこそ収益アップよりもクオリティアップを大事にしてほしい

そして対談の詳細に関しては宇都宮さんがアップしているのでこちらもぜひご一読していただきたい。

僕のほうでは今回の対談での発言を引用したり、言い足りなかったことを加筆しながら、改めてスーパーリーグ構想の是非について考察していきたいと思う。

▼ なぜ不十分な準備段階で公表したのか

さて、そもそものところで今回の騒動を欧州スーパーリーグ対UEFAチャンピオンズリーグという構図だけでとらえていいのかという点が一番気になるところだ。

中村さんからの指摘で一番僕が印象深かったのは、「(スーパーリーグ参加を表明していたクラブの)皆さんは色々な他分野の事業で活躍をしているオーナーたちなので、わざとこんな何か唐突感を出してやっているのかとか勘ぐってしまうほど。そんなに馬鹿じゃないはずだよなという気持ちが正直あります。だからこの裏の本当の意図って何かあるのかなと勘ぐってしまうというのが大きな正直な感想ですね」というところ。

僕も冒頭で「水面下で動き続けていたはずのスーパーリーグ構想を12クラブ名前を揃えて発表した以上、よほどしっかりとした準備と覚悟を持ってきたから、ここからのUEFA・FIFAとのやり取りはどうなるんだろうとと思っていたのに、そこまで大掛かりにやったわりには自チームのファンや選手・監督にも説明はなかったのかと。

地固めをしてから発表という流れが筋だったではないのかなと思うんですけれども。結局それがなかったために大反発を受けて撤回せざるを得なくなった流れじゃないかなと考えています」と話をさせてもらったが、ちょっと考えれば想定できるようなファンの反発に対する対策を講じることもしていなかったというのはやっぱり解せない。だから、これで終わってしまうはずはないという思いはやっぱりある。

じゃあ、どんな狙いで公表したのかと考えると、やっぱりUEFA・FIFAへの圧力を高めるためだろうと思うのだ。今回もUEFAチャンピオンズリーグのリフォームに賛成しているファンの声なんてないのに、UEFAは強行突破しようとしている。

バイエルン代表取締役カールハインツ・ルンメニゲは「FCバイエルンはチャンピオンズリーグのリフォームを歓迎している。それが欧州サッカーの発展のために正しい一歩だと思うからだ。変更されたグループリーグはスリリングで感動的なものを大会へ加えてくれることだろう」と話していたが、どの点で見たらグループリーグがスリリングで感動的なものになるのか僕にはわからない。

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