中野吉之伴フッスバルラボ

20-21シーズンのブンデスリーガがいよいよ開幕!日本人選手の現在地をチェックしてみよう

▼ 制限ありながら観客がスタジアムに戻ってくる

ブンデスリーガが開幕する。

今日現地時間20時30分に昨季王者のバイエルンとシャルケとの一戦で新シーズンの幕があがり、各クラブによるしのぎを削る戦いがスタートする。優勝争い、CLやEL出場権争い、そして残留をかけたギリギリの戦い。いろんな思惑が交差し、様々な駆け引きの連続がリーグの行方に色どりを加えていく。

誰がブレイクスルーを果たすのか。どんな監督がどんなチーム作りをしてくるのか。うまくいくチーム、うまくいかないチームの命運を分けるのはなんだろう。今季はどんなシーズンになるんだろう。

いつもだったらものすごくワクワクドキドキしてこの日を迎えたものだ。

今季に対してももちろんその思いはすごくある。でもどうしても普段通りにいくわけではない。新型コロナウィルスの影響はいまだに予断を許さぬ状況なのは誰もが知っていること。我慢強く対処していかなければならないことは十分にわかっている。

でもその分、シーズンへの思いにしても、こちらのブンデスリーガへの関わり方にしても、例年通りにはいかないのはつらいなぁ、というのは正直な思いではないだろうか。

僕個人にとってもそうだ。バイエルンが現在リーグ8連覇中ということは開幕戦はこの8年ずっとミュンヘンが舞台だった。そこへ取材に行き、開幕セレモニーを見て、今季の展望についてあれこれ思いを巡らせるのが僕の通例であり、大きな楽しみの一つだったわけだが、それができない。

しょうがないのはがっしりと分かっているけど、残念な気持ちを払しょくすることはできない。ファンの人もみんなそんな思いなのだろうか。

そんな中、観客がスタジアムに戻ってこれるようになったのは間違いなく朗報だ。ブンデスリーガでは10月までの6週間テスト運転として、スタジアムキャパから最大20%の観客動員が許可されている。もちろん各地域の感染拡大状況と照らし合わせて、各地保険庁の許可をもらう必要がある。感染拡大がほとんど見られない地域であれば、20%分の動員が可能だし、ある程度の考慮が必要な地域だと10%前後に抑えられるケースもある。

開幕戦が行われるミュンヘンでは当初10%相当の7500人の観客が動員される予定だったが、感染拡大状況が悪化したために、急遽無観客で行われることになってしまった。動員数が発表された翌日に、結局無観客という決定が下される流れは決して喜ばしいことではない。

でも感染拡大の深刻度を示す数値が設定ラインを超えたのであれば、対処をしなければならないという事情も理解できる。

スタジアムに数千人のファンがサッカーを楽しむという映像が流れることによる影響は間違いなく大きいのだから。「もう大丈夫じゃないか」とコロナに対する衛生対策を全く考慮しない人が増えてきたら社会として立ちいかなくなってしまう。

バイエルン代表取締役カールハインツ・ルンメニゲは「すぐにまた観客ありでの試合が開催できることを心待ちにしている」と語り、監督のハンシィ・フリックも「我々はコロナ禍において、常に新しい状況に対応していくことが大事だというのを学んでいる」とコメントし、冷静な対処を呼び掛けていた。

ここから感染拡大状況がどう変わっていくか。それは誰にもわからない。事態の変化が読めない中、各スタジアムにおいての動員数で大きな開きがあるのはどうなんだ、という点に関して少なからず議論の余地はあるかもしれない。

でも、それよりも、だ。

観客の声援がスタジアムに響き渡るという事実を喜ぶ方が先ではないかと思うのだ。

たとえそれが500人であったとしても、そこに応援する人がいて、彼らの熱を感じられて、ともに戦ってくれる人の魂を力に変えることができて、そんな空間を共有できることはとても大きなことではないだろうか。

満員のスタジアムで、だれでも気兼ねなく隣の人と肩を組みながら、愛するチームを支え、相手チームを罵倒し、勝って笑い、負けて怒り、その余韻を翌週のエネルギーに変えていく。そんな日常が戻ってくるのはまだまだ先のことだろう。

そんな日常が恋しい。それでも、僕らは間違いなく前に向かって進んできている。試合もできない状況から、無観客で試合ができるまで様々なことを整理をして、少数ずつだけど観客が入れるようになったのだ。

何度後退しても、僕らはまたそこから進んでいける。

ちなみに開幕戦における各スタジアム動員数はこちらだ。

フランクフルト-ビーレフェルト 6500人

ウニオンベルリン-アウグスブルク 4300人

ケルン-ホッフェンハイム 9200人

ブレーメン-ヘルタ 8500人

シュツットガルト-フライブルク 8000人

ドルトムント-ボルシアMG 10000人

ライプツィヒ-マインツ 8500人

ウォルフスブルク-レバークーゼン 500人

70000人、80000人という観客動員数が当たり前だったころと比べてもしょうがない。今季を楽しもうではないか。

僕も明日のフランクフルトとビーレフェルトの試合の取材申請を受け取ることができた。最後の取材が3月9日だったので実に半年ぶりのスタジアムだ。チケットの受け取り、取材の仕方、ケイタリングの流れ、いろんなことがこれまでとは全く違うので、一つ一つ確認しながら動かないといけない。

でもそうした一つ一つのことが楽しみだ。そうした明日の試合の様子はまたこちらでもリポートしたいと思う。

さて、次ページでは今季ブンデスリーガでプレーする9人の日本人選手について、現時点でのチームの立ち位置についてまとめてみた。ぜひこちらもチェックしていただきたい。今季は毎節ごとに日本人選手についてのまとめもアップしていくつもりだ。

さあ、ブンデスリーガがいよいよスタートだ!

(残り 3016文字/全文: 5356文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ