中野吉之伴フッスバルラボ

10月の記事2本まとめ&ブックレビュー。/スポーツにおける「リスペクト」とは/定番練習メニュー「ロンド」を考える/「ぼくらの身体修行論」

こんにちは!

ウェブマガジン編集・管理人による毎週水曜日の無料コラム。本日は直近の中野吉之伴の記事と、おすすめの書籍について書かせて頂きます。

10/19記事 【サッカーは自分たちだけでは成立しない。リスペクトの精神をしっかりと理解し、自分たちと向き合っていくことが大切だ】

このウェブマガジンの読者のみなさんの中には、日々海外サッカーの情報や触れておられる方も多いと思います。トップリーグの華麗なプレイだけでなく、アマチュアや子どもの試合で起こる予想外のスーパープレイや、ときには微笑ましい珍プレーの動画が、Twitterや海外ニュースサイトやまとめサイトなどを通じて拡散していくのもよくあることです。

この記事に登場するM.マムート選手はドイツの10部リーグでプレイするアマチュア選手。彼が思い描いていたのも、ひょっとするとそんな「一風変わった」「遊び心のある」ゴールシーンのつもりだったのかもしれません。信じられないようなチャンス、夢のような高揚感。誰かがスマホで撮ってTwitterでアップしてくれて、バスったら面白いな、なんて。

しかし審判の下した判断は違いました。マムート選手のプレイとは。審判が引いた不可侵のラインとは。続きは本編でお読みください。

10/22記事 【「ロンド」って何のための練習だろう?試合にいきる戦術的要素を組み込むための5つの要素とは?】

このウェブマガジンの「子どもと育つ」というタイトルには、子どもは自分で育っていくもので、大人はそれを見守りサポートするもの、という中野吉之伴の基本姿勢が込められています。ですから、ここでは「この練習をやれば短期間でこの力が伸びる!」とか、「子どものプレーが劇的に変化する秘密!」みたいなキャッチーなことは書きません。そんな都合のいい裏技なんてありません。(あったら使いたい気もしますが…)

でも今回はちょっとだけそんなキャッチーな伝え方をしてもいいんじゃないかな、と思っています。今日の練習からすぐ使えます(笑)!世界中で行われる最もオーソドックスな練習の1つである「ロンド」。定番かつ幅広いアレンジが可能なこのトレーニングメニューですが、シンプルな練習であるからこそ奥が深いとも言えます。いつもの練習の設定を少し見直してみるだけで、選手のインテリジェンスが刺激され、プレイの引き出しがぐっと増えるかもしれません。ご一読いただければ幸いです。

 

最後は、管理人のゆきのが最近読んで非常に興味深かった本をご紹介します。

ぼくらの身体修行論 (朝日文庫) 内田 樹 

思想家・武道家の内田樹氏と元ラグビー日本代表の平尾剛氏による対談です。ラグビーワールドカップが開幕する前のタイミングで 友人に勧められて読んでみました。

内田氏は、今でこそ合気道家として150人近い門人を指導される立場ですが、元々は「子ども時代に『鈍重』とあだ名されて、体育の時間のたびに暗い顔をしていた人間」だったと言います。一方の平尾氏は、自らの身体能力をフルに開花させていた現役選手時代の生活から、故障を機に引退。その後は大学の教員として、またスポーツ指導者として、子どもや学生と関わっておられます。子どものころから運動神経が群を抜いていた人とそうでなかった人として、バックグラウンドは全く異なる2人ですが、2人が正反対といってもいい経験の中から辿り着いた知見は驚くほど近いもので、そこで交わされるやり取りは読んでいて非常に興味深かったです。

文庫化されたのは2015年ですが、本文のもとになった対談は2006年に行われたもの。そこから10年以上が経っているにも関わらず、日本のスポーツにおける根性主義の弊害や体罰の問題などについては、以前にくらべて意識は変化しつつあるとはいえ、根本的な解決まではまだまだほど遠いのが現状です。日本の体育やスポーツ環境がすくい上げることができていない子どもたちがいる。スポーツが嫌いになってしまう子どもたち、スポーツによって心身に深い傷を負ってしまう子どもたちがいる。そんな子どもたちをなくしたいと思っている方にはぜひ手に取っていただきたい本です。

「すべての人間はそれぞれに固有の、個性豊かな身体能力・身体特性を賦与されており、それが開花する喜びは全ての人間に等しく保証されている。わたしはずっとそのように考えてきました。(中略)わたし自身がそうであったような『自分には身体能力がない』と思い込まされている子どもたちに、彼らが蔵している可能性がどれほど豊かなものかを気づかせるのが私の夢です(『はじめに』より)」

今週もお読みくださりありがとうございました!また来週もよろしくお願いいたします。

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