中野吉之伴フッスバルラボ

【TR論】4対4のミニゲームをどれだけアレンジできるだろうか?

何かいいトレーニングメニューないですか?

こんな質問をされることがある。そういうとき、いつも思う。いいトレーニングメニューって何だろう? フワッとしすぎてない? そう思いながらも「こんなのどうですか?」と紹介する。

すると、「あー、それもいいですよね。今後やってみます」と言われ、しばらくしたら「やってみたけど、なんか違いました」と返事が届く。

うーん、どんなメニューだったらいいのだろうか??

年代別、習得別、段階別な戦術的なテーマがあって、最適な負荷で、最適な時間、最適な人数と最適な広さで、技術要素、フィジカル要素、メンタル要素、思考要素が最適なバランスで組み込まれていて、そこにコミュニケーションを取りあえるゲーム的なルールが加わって、一過性ではなくて、次につながるようにプログラミングされていて、自分たちの練習場でも、少ない用具でも、ゴールがなくても、指導者経験が少なくても再現可能なメニュー?

そんな魔法のようなメニューやメソッドなんて存在しない。

でも、魔法のようなメニューがないとサッカーがうまくならない、楽しくならない、ワクワクしないなんてことはない。ありきたりのメニューでもバリエーションを与えることで、それぞれの戦術、技術、フィジカル、メンタル、思考成長段階に応じたトレーニングにすることはできる。

結局のところ、大事なのはこのバリエーションのつけ方だと思う。

例えば、オーソドックスな4対4のミニゲームをやるとする。ここからメニューにどれだけアレンジを加えることができるだろうか。いくつか考えてみよう。

【アレンジ01 ボールタッチの制限を変える】

1.ボールタッチ数を制限する

▼2〜3タッチ以内
判断、戦術的なポジショニング、パスを出した後の動きが求められる。タッチ数が少ないルールでいいプレーができないのは、「自分だけで何かをしようとしている」から生じてしまう問題だ。

「ドリブルができない」と文句を言う選手もいるが、ドリブルとは自分一人でボールタッチし続けることではない。タッチ数を仲間と共有してボールを運ぶのもドリブルの効果を持っている。

自分が3タッチをして、味方に渡し、またもらい直せる位置にすぐ動くことができたら、続けてまたボールに触ることができる。パスを出して足を止めておいて「ドリブルができない」と言うのではなく、このルールの中でできるプレーを見つけることが大事なはずだ。

2.ボールタッチ数を固定する

▼必ず2〜3タッチ
ダイレクトパスを使えないので、「ファーストタッチをどこに運ぶか」が非常に重要になる。ファーストタッチをうまく処理するためには、事前に周囲の状況を把握しておかなければならない。

どこのスペースに運べるか、運んだら誰が受け手になれるか、相手はどう守ろうとしているのか。ファーストタッチを見せ球に使う、つまりわざと足下に止めたり、ちょっと右方向に動かしたりして相手を誘い、その逆を狙おうとする際も、その後の目的がないままやったら相手に詰め寄られてしまう。

そういうことを判断しながらプレーすることで、スペースやまわりの選手の位置取りにより気を配れるようになる。

3.リターンパス禁止

▼パスを出した後リターンパスを受けてはNG!
「とりあえずリターンパス」からでは、その後の動きが生まれない。回りの選手がパスをもらうために動かないといけないし、パスを出した選手がその後の動きのためにポジショニングを変えていくというのが求められる。

「もっと動け」とは簡単にいえるけど、動くことが目的ではなく、ただがむしゃらに走っているだけでは自分たちが有利な状況を作れない。相手が守りにくい状況を作るためにポジションを変えて、ずらしていくことが大切で、そのために動こうというアイディアがあることが必要。

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