中野吉之伴フッスバルラボ

南バーデン州の「トレセンの在り方」。協会、プロクラブ、町クラブとの結び付き方とは?

子どもの成長に必要な環境を作り上げたい。

 そう思う人が、日本にも数多くいることは知っている。とはいっても、個人、チーム、クラブ単位で実行できることには限界がある。それぞれの努力とがんばりがより効果的に次へとつながりを持つためには、地域協会の協力とサポートがどうしても必要になる。

そこで、今回は先日訪問した南バーデン州サッカー協会で聞いた話を紹介したい。指導者育成スタッフのヨハネス・レストレ氏、指導者育成インストラクターのアンドレ・マリノフスキ氏に取材を試みた。

ドイツには全部で21の州サッカー協会があり、それぞれが自らの地域の特徴と条件をもとに強化と普及策を考えていく。ドイツサッカー協会から基準となる指針や考え方が送られてくるが、すべてを遵守しなければならないわけではない。それらを中心軸にして参考にするし、他の地域との共通認識を持つ上でも重要視はされている。しかし、どこも同じようなやり方が通用するわけではない。土地柄が違えば、対処も変わってくる。

フライブルクを中心とする南バーデン州は立地条件が他の地域とは違う。「黒い森」と呼ばれる森林・山地が広がり、その間を縫って町や村が散在する。大きな町が少なく、フライブルクの人口20万人が最多だ。人口密度では、他の地域と比べてかなりの差がある。例えば、フライブルクを中心に50kmの範囲で円を書いてみる。そのエリア内にいる選手数と同じ範囲でシュツットガルトを中心に円を描いて比較してみると、実に選手数は3倍以上の差が生じる。また、強大な資金力を持つ企業がほとんどない。だから、大型スポンサーが他の地域と比べると集まりにくい。ブンデスリーガクラブはSCフライブルクの一つだけである。

そうした立地的な条件を認知した上で、どのような政策を立てていくか。

(残り 3521文字/全文: 4270文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ