中野吉之伴フッスバルラボ

ドイツ代表の攻撃を一例にゴールメイクのメカニズムを分析。ゴールまでの過程を含めてU11年代のトレーニングに落とし込む

サッカーとは、相手より1点でも多くゴールを決めたチームが勝つゲームだ。

最終的にどうすればゴールを決められるのか、どうすればゴールを守れるのか。ゴールを決めるためにはシュートが必要で、ゴールを守るためにはボールを奪う必要がある。ゴールを守り、ボールを奪いに来る相手に対して「どのようにシュートに持ち込み」、「どのようにシュートを打つのか」が攻撃においての最大のポイントとなる。

そこで、チャンスメイクからゴールメイクまでについて取り上げてみたい。

例えば、ロシア・ワールドカップでドイツ代表はシュートに持ち込むところで大きな問題を抱えていた。前大会王者ということもあり、どの国も徹底したドイツ対策を練り上げて試合に臨んで来た。ペナルティエリア付近では固い守備が築かれてしまった。ビルドアップからの攻撃も分析され、ボールが効果的に好タイミングで前線に運ばれない。

中央からの崩しが難しいと、サイドからの攻撃に活路を見出そうとした。優先順位としては「GKとDFライン間のスペース」。DFラインがそのコースを潰して来たらDFラインとMFラインの間のスペースを狙う。

▼スウェーデン戦のドイツ代表1点目

 スウェーデン戦でロイスが決めたゴールは、まさにこの狙い通りだった。左サイドからベルナーが突破してクロスを上げる。そのコースに実に4選手が入っていた。ロイスはパスが出てくる前にDFから離れた位置でスペースを作り、そのコースへ出てくると確信をして一気に加速してシュートへと持ち込んだ。その前ではFWゴメスがDFをブロックし、その後ろでは右SBのキミッヒが完全にフリーで待っていた。

このシーンだけを見れば、非常に優れた準備と対応のとれた攻撃だった。だが、惜しむらくはこうした動きが今大会ほとんど見られなかったことだ。相手のMFが戻り切ってそのスペースを埋められたら、もう一つ後ろのペナルティエリアすぐ外辺りへ。そこにも対応してきたらパスを横にスライドさせて起点を作ったり、ミドルシュート、あるいは一度逆サイドに相手を振ってから折り返すというような変化が必要だった。

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