中野吉之伴フッスバルラボ

講習会は参加するだけでは学びにならない。指導に落とし込むには講師とのディスカッションも重要だ

 

▼1月の帰国中にサッカークリニックを行ったクラブの話だ。

そのチームのコーチから「子どもたちからの提案なのですが、最初の20分くらい、自分たちのゲームを見てほしいそうです。自己紹介はサッカーで、ということらしいです」と連絡を受けた。すばらしいアイディアではないか。

当日、まず全員でウォーミングアップをした後、約束通りゲームを見させてもらった。子どもたちはそれぞれ気合いが入っているようだ。だが、片方のチームに戦力が偏ってしまっているのか、点差がどんどん広がった。点を取られている子どもたちの動きはどんどん悪くなるばかり。しばらく見ていたが、一度ゲームを止めてもらい、負けている方のチームに入って簡単なミーテイングをした。

「一人一人がばらばらにプレーしていたらサッカーにはならないよ。ボールを取られたからと足を止めて立っていたら、相手にゴールをプレゼントするようなもの。例えば、2対2は1対1+1対1じゃない。2人が協力するから意味があるんだ。チームでもそう。味方のそばにいる選手は助ける準備をしながら動かないと。ボールを取ったら前にパスコースを作っていく。まずはそれをやってみよう」

私はピッチ上に残り、中から指示をすることにした。

直接プレーには関与せずに、でも一緒に動きながら声かけだけで子どもたちにヒントを与えていく。難しいことは言わない。できるだけシンプルに。

「逃げちゃだめだ。ボールを取りにいくのは大事なチャレンジだよ」
「一人目のDFが相手の動きを抑えたら、二人目がサポートして奪いに行こうよ」
「素早く攻めたいけど、慌てたらもったいない。特に自陣では無理をしない」
「前を見ながらボールを運ぼう。そこで縦パスを入れられたらチャンスになる」

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