「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【選手コメント 天皇杯準決勝 川崎-福岡】「まだルヴァンカップが残っている。点を取って次は勝たせる」/鶴野怜樹

天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 準決勝
2022年10月8日(日)15:30キックオフ
会場:等々力陸上競技場/18,547人
結果:川崎フロンターレ 4-2 アビスパ福岡
得点:[川崎]山村和也(5分)、[福岡]金森健志(42分)、[川崎]橘田健人(53分)、マルシーニョ(70分)、レアンドロ ダミアン(81分)、[福岡]鶴野 怜樹(90+6分)

◎鶴野怜樹選手(福岡);
Q:勝負は決まった後でしたが意地を見せたゴールになりました。
「もう失点をたくさんしてしまっていて、チームとして、ウェリとケネ(三國ケネディエブス)を前線に置いて、もうはっきりした戦術でいこうというのは認識していたので、自分はパワープレーのボールに競ることはできないんですけれど、ボールがこぼれてきたら、それを得点に繋げようというふうに考えていました。ただ得点はしたものの、4失点もしている中で遅い時間帯のゴールになったのは、自分的にはあんまりかなと思っています。これで天皇杯が終わってしまったんですけれど、自分たちにはまだルヴァンカップが残っているので、次もしっかり点数を取って次はチームを勝たせるので引き続き応援をよろしくお願いします」

Q:落ち着いてボールをコントロールしてからの左足でのシュートでした。どういう考えだったのか振り返っていただけますか?
「あそこはフィフティフィフティの場面と言うか、最後にボールが落ちたときには相手のボールかなという感じだったんですけれど、身体をポンと当てて相手のバランスを崩すというか、嫌な言い方だと思うんですけれど、そうやってマイボールにするというのは結構得意だと思っていて、それがうまく決まった感じでした。後ろ向きだったので、ケネとか(山岸)祐也くんとかに落として、そこからまた前に飛び出していくという選択肢もあったんですけれど、どうせなら思いきって前を向いて振り抜こうと瞬時に思ってのプレーでした。ゴールは見てなくて感覚で振り抜いたという感じです」

Q:以前も川崎相手に似たような時間帯で点を取っていましたが、決められるという良いイメージというか、感覚はあったのでしょうか?
「前回もああいう3点ビハインドの展開からのゴールで、1点だったんですけれども、あれで自分自身の中で、この準決勝が決まった時に川崎相手に点が取れるという良いイメージを持っていたし、もちろん途中で出ててヒーローになるというイメージもできていたんですけれど、やはりイメージだけでは駄目なのかなと。相手のレベルの高さというのも感じ取れたし、まだまだもっともっと成長してやっていかないなければいけないなというふうに感じました」

Q:あの時間帯、あの点差。言い方は悪いですけれど集中が切れても致し方ない状況ではありました。そんな中でのゴール。どんな思いでプレーされていたのでしょうか?
「ピッチに立っている以上は諦めるわけにはいかないし、こんな遠いところまで応援に駆けつけてくれているファン、サポーターの方たちのためにも、下を向いていられないなというふうに思っていたし、こんな試合になってしまって本当にふがいないんですけれど、この負けを次に繋げられるように、明日、明後日と良い準備をして、この悔しさを次の試合にぶつけます」

Q:中2日でまた名古屋ということで、4-1のまま終わるよりも、やはりあそこで1点を返して次の試合に向かえるということで、チーム全体も前向きになれるのではないかと思いますが、その辺りはいかがですか?
「すでに3点差がついてしまって、残り時間も少ない中でしたけれど、ピッチの中では本当に誰も下向いてる人はいなくて、次に繋げようという気持ちが後ろの選手からどんどん伝わってきて背中を押されていたので、あの1点が次に繋がったと思ってもらえればなとは思います。ロッカーでも下を向いてる人はいなかったし、これが本当アビスパの強さなのかなと思うので『あの1点が次に繋がった』と言ってもらえるように、次は勝って、そして決勝に行って、ここに来れていない選手や、怪我している選手のためにも自分たちは戦わないといけないと思うので、さっきも言ったように、いい準備をしていきます」

Q:あのゴールにはたくさんの人が勇気をもらったと思います。
「あのまま終わっていたらチームが下を向いてしまって、ズルズルとその気持ちを引っ張ってしまって、ルヴァンカップでも嫌な結果で終わってしまうというふうな未来が、多分うっすらと見えていたと思うんで、そこで点を取ってチームの矢印を上の方向に向かわせられたかなと。それが良かったのかどうかは今は分からないし、それは次の試合の結果が大事になってくると思うので、しっかり準備してやっていきます」

Q:だからこそ、あの場面では自分で局面を打開しようと考えていたということでしょうか?
「そうですね。ハーフタイムぐらいのときから、スタッフ、コーチの方から『自分で仕掛けていくイメージを持っておけ』というふうに言われていて、自分の特徴はスピードを活かしたドリブルとかなので、本当に瞬時の判断だったんですけれど、前を向いて、仕掛けて、足を振り抜いて、点を取ることができたのは良かったのかなと思います」

Q:プロとして戦う初めての天皇杯でしたが、改めて振り返って、これまでとは違うというような感覚はありますか?
「試合前から、いろんな選手から、たとえばユザくん(湯澤聖人)からは「もう何年もプロサッカー選手をしているけれど、天皇杯の準決勝のピッチに立った初めてだよ。だから楽しんで」というふうに言われていて、そういう試合で自分がどれだけできるのかというのは本当に楽しみにしていて、今日の試合はやるしかないというふうにモチベーションをずっと高めていました。しかも等々力競技場は高校サッカー選手権で3試合したスタジアムで、ベスト16まで進んだ会場だったので良いイメージがあって、あの選手権では点数も取っていたので、良いイメージはできていたので本当にやるしかないなというふうに感じてました」

Q:今はクラブの戦いに集中していると思いますが、アジア大会のメンバーに同世代の選手たちが選ばれていて、鶴野選手も候補合宿に呼ばれていたと思います。そういったことで刺激を受けたり、成長を感じたことなどはありましたか?
「何の風の吹き回しか分からないですけれども、昨日、ちょうどアジア大会の決勝戦があって、これまでの試合は、相手のレベルも多分低かったと思うし、悔しいという気持ちがとても強くて見ていなかったんですけれど、決勝の相手の韓国はレベルが高いというのを記事などで目にしていたし、そういう相手にどういう戦い方をするのか、自分がそこに立っていたらどういうことができるのかというのもあって試合を見たんです。試合には負けてしまったし、あそこに自分がいたらというふうな考え方はあったし、だからこそ本当に悔しい気持ちがとても強くて、今日は次は(代表に)呼んでいただけるような活躍をしないといけないと思ってたんですけれど、チームを勝たせることができなくてまだまだだなと感じました」

Q:まだルヴァンカップもあります。そこへの意気込みが改めて強くなったというところでしょうか?
「さっきも言ったように、この1点が次に繋がったって思ってもらえるように、またチーム全体で良い準備をして、自分自身もあまりフォワードとして点数が取れていないので、この1点をきっかけにしてもっともっと点数を取ってチームを勝利に導きます」

[中倉一志=取材・構成・写真]

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ