「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【レポート 天皇杯2回戦 福岡-沖縄SV】輝きを見せた北島祐二。自身のJ初ゴールをはじめ3得点すべてにからむ活躍

天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 2回戦
2022年6月1日(水)19:00キックオフ
会場:ベスト電器スタジアム/1,459人
結果:アビスパ福岡 3-0 沖縄SV
得点:[福岡]金森健志(40分)、北島祐二(54分)、東家聡樹(71分)

アビスパ福岡は1日、天皇杯2回戦で沖縄SVと対戦(ベスト電気スタジアム)。立ち上がりから主導権を握るアビスパは40分にCKのこぼれ球を金森健志が決め手先制すると、54分に北島祐二がプロ初ゴール、71分には東家聡樹がJ1初ゴールを決めて3-0。沖縄SVの反撃を無失点に抑えて3回戦進出を決めた。3回戦の相手は、いわてグルージャ盛岡に決定。6月22日(水)に「いわぎんスタジアム」で行われる。

誰もが待っていたプロ初ゴール
この日最も最もスタジアムが沸いたのはアビスパが1点リードで迎えた54分。北島祐二が右足で放ったループシュートが、ゆっくりと、しかし確実にゴールへ吸い込まれた。本人はもちろん、多くのファン、サポーターが待っていた自身プロ初ゴール。ゴール裏に向かって走る北島に一段と大きな拍手が送られる。

「いろんな方の喜んでいる姿や嬉しそうな表情が見えた。やっとサポーターのみなさんに僕のゴールを見せることができてほっとした」
ベススタでゴールを決めるのは小さい頃からの夢。少し時間はかかったが北島は確かな一歩を刻んだ。

この日の相手は沖縄県代表の沖縄SV。カテゴリーが下のチームとは言え天皇杯は一発勝負のトーナメント戦。何が起こるか分からない独特の緊張感が漂う。だがアビスパは落ち着いてゲームを進めていく。その中で一段と輝いていたのが北島だった。左サイドでドリブルを仕掛けて攻撃の起点を作り、あるいはボールを配り、アビスパの攻撃のリズムを作る。もちろん守備にも全力疾走。「この試合で自分の力を見せる」。そんな気持ちが伝わってくる。

アビスパの最初の決定機は7分。さらに12分、13分、18分、そして26分と、CKを含むセットプレーで決定機を積み重ねていく。キッカーは北島。トレーニングで対戦チームの仮想キッカー役を任される中で磨いたという右足のプレスキックの精度は高く、いずれのシーンも得点につながってもおかしくないものばかりだった。
そして40分、アビスパに先制ゴールが生まれる。CKのキッカーはやはり北島。相手GKがパンチングに逃げたボールを金森が右足をダイレクトで振り抜いてゴールネットを揺らした。

沖縄SVに順当勝ち
後半に入ると沖縄SVがリズムを刻みだす。49分にはひやりとさせられるシーンも作った。そんな流れを断ち切ったのが冒頭のシーンだった。始まりは左サイドでの攻防。北島は鮮やかな身のこなしで対峙する相手を入れ替わるようにしてかわすと、そのままドリブルでゴール前中央へ。ここぞというタイミングで金森にスルーパスを送る。シュートに持ち込めなかった金森からのリターンパスを受けて冒頭のゴールが生まれた。

そしてダメ押しの3点目も北島が起点となって生まれる。GK永石拓海からのスローを自陣左サイドで受けると、右のスペースに駆け上がるジョルディ クルークスへ大きなサイドチェンジでボールを供給。相手DFとの競り合いの中でボールはこぼれたが、そこへ走り込んできた東家聡樹がGKとの1対1から落ち着いて流し込んだ。3得点すべてに絡んだ北島。対戦相手との間に合った力の差は差し引くべきだが、それでも北島がこの日の勝利の立役者だったことは間違いない。

だがミックスゾーンに現れた北島は、プロ初ゴールの喜びは口にしたものの満足はしていなかった。
「やってはいけないゴール前でのミスもあったし、細かなミスもあった。そこは直していかないとJ1では通用しないし、そのワンプレーでチームが負けてしまうということもある。隙をなくさないといけない」
出場機会が増えたとは言え、まだやっとスタートラインに立ったばかり。今シーズンに何を残すかで自分のサッカー人生が決まるという想いは強い。

勝利を重ねることでチャンスが広がる
さて、順調に2回戦を突破したアビスパ。すべての公式戦は等しく重要という基本的な考え方の下、ルヴァンカップ同様に天皇杯でもベスト4以上を目指して戦う。カップ戦とリーグ戦を平行して戦うのはハードスケジュールのようにも思えるが、そもそも、それを戦い抜くためのチーム編成。そして、その時々で出場機会を得た選手たちが最大出力を発揮することで、お互いの競争意識が高まり、結果を残すことで信頼関係が生まれ、チームは一歩ずつ成長していく。

そして北島は話す。
「なかなか試合に絡めていない選手たちは、できるだけ試合数を増やして、できるだけチャンスを増やそうという高いモチベーションでやっている。今日の結果は、みんなのモチベーションがつながったもの。また増えた試合で活躍できるように、毎日の練習で積み重ねていきたい」
3回戦は岩手に乗り込んでのグルージャ岩手盛岡との対戦。どんな相手も、どんな試合も簡単ではないが、アビスパらしく勝ち上がることを期待したい。

[中倉一志=取材・文・写真]

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