「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【レポート 天皇杯準々決勝 福岡-甲府】アビスパらしさを発揮できず。甲府の攻撃サッカーの前に準々決勝で敗退

天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 準々決勝
2022年9月7日(水)19:03キックオフ
会場:ベスト電器スタジアム/1,948人
結果:アビスパ福岡 1-2 ヴァンフォーレ甲府
得点:[甲府]三平和司(16分)、[福岡]森山公弥(27分)、[甲府]鳥海芳樹(97分)

アビスパ福岡は7日、天皇杯準々決勝(ベスト電器スタジアム)でヴァンフォーレ甲府と対戦。ルヴァンカップに次いでベスト4進出を目指したアビスパだったが、立ち上がりから優位に立つ甲府が16分に先制。アビスパも27分に森山公弥のプロ初ゴールで一時は同点に追いついたがゲームの流れは変わらず。それでも何とか耐えていたものの延長戦に入った97分にゴールを奪われてこれが決勝点。アビスパはベスト8の成績で天皇杯を終えた。

120分を通して放ったシュートは甲府の16本に対して6本。結果もさることながら内容でも圧倒された。3-4-2-1の布陣から、サイドチェンジを交えてピッチを幅広く使い、中央に生まれるギャップに楔を打ち込んで小気味よいリズムでボールを前に運ぶ甲府に対して、ボールを奪うことができず、攻撃の形も作れず。延長後半にパワープレーに出た時間を除けば、ただ、ただ、守備に追われた。

「内容はともかく結果を取らなくてはならない、そういうゲームだったと思うが、それができず強く責任を感じている」。そう話す長谷部茂利監督は落胆の色を隠しきれなかった。クラブ史上初となる天皇杯ベスト4まであと一歩。連戦が続く中、3日に行われたリーグ戦からは大幅にメンバーが代わっており、攻撃に特長を持つ甲府に対して苦戦することも想定の範囲内ではあったが、ここまで一方的な試合になってしまっては結果を取ることは難しかった。

森山のゴールで同点に追いついてから、アビスパは4-4-2から3-4-2-1に立ち位置を変更。布陣を甲府に合わせたことで少し落ち着いたかのようにも見えた。だが、それも長くは続かない。「スライドの部分などで、5枚にすると、どうしても人任せになりがちでマンツーマンになり気味なところがあった」と振り返るのは宮大樹。後半に入ると、さらに前への意識を高めた甲府に一気に押し込まれた。甲府が再三の決定機を外したことで試合は延長戦にもつれ込んだが、アビスパがゴールに向かうシーンはほとんど見られなかった。

内容、結果ともに完敗と認めざるを得ない試合。リーグ戦で勝てない試合が続く中、チームに勢いを取り戻すためにも何としても勝ちたかった試合だったが、それは叶わなかった。だが、下を向いている暇はない。結果を真摯に受け止め、自分に矢印を向けて、いま何をすべきかを考えて取り組んできたのがアビスパ。その姿勢を貫くことがチーム再浮上を図る唯一の方法だ。

[中倉一志=取材・文・写真]

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