「football fukuoka」中倉一志

アビスパ再建に向けて 野見山篤代表取締役社長

内容:新任代表取締役社長候補者発表記者会見
日時:2013年12月24日(火)16:00~
場所:福岡市役所15階講堂

「こんにちは。座ったままで失礼させていただきます。ただいまご紹介にあずかりました野見山でございます。よろしくお願いします。私は福岡県の飯塚の出身ですので、今回、地元アビスパ福岡の仕事に携わることができまして、非常にうれしく、光栄に思っています。是非、150万人の市民クラブの代表といたしまして、福岡市民、県民、九州全域の方々のご支援を受けて、ファン、サポーター、あるいはスポンサーの方々、小学生を含めましてサッカーファミリーの皆さんの期待にこたえられるように、一生懸命、頑張っていく所存ですので、よろしくお願いいたします」

Q:アビスパの社長にという話を12月に受けたということでしたが、その時のお気持ちを聞かせてください。
「正直、大変うれしかったです。地元から、こういうお話をいただいたということは非常にうれしかったです。私は福岡で育った人間ですし、福岡の先生方にご指導いただいて育てられたという面もありますので、是非、何らかの形で福岡に恩返しがしたいと思っていました。そういう点では、本当にうれしいお話で、率直にうれしいと思っています。我々のサッカー仲間が困っているときには助けるだとか、あるいは私自身がチャレンジしたいということも持っておりましたので、今回の打診を受けて、責任が非常に重大であるということは分かっているんですけれども、それ以上に、自分がやるぞという気持ちでいます」

Q:社長を引き受ける決め手となったのに何でしょうか?
「先ほども言いましたように、まずは地元のアビスパが困っているという状況だったということです。まず150万人都市であるというところにおいて、アビスパ福岡のポテンシャルは非常に高いものがあると思います。まして、この福岡という地域は、小学生、中学生、高校生、それぞれのカテゴリーにおいて全国レベルですし、そういう人材はたくさんいるはずです。先ほど、局長(四宮)の方から話があったように、やはり、地域に根差したというところがキーワードになっていますし、Jリーグができてから20年経っていますけれど、そこは全く変わらない部分だと思っています。福岡も、やはり、そういう地域になるために、指導者の方々と切磋琢磨して良い選手を育てていくことで、本当に夢のあるクラブ、子供たちが夢見るクラブ、そういったクラブにしていきたいと思っています。スポーツが与える影響というものは、皆さんがご存じの通り、大きなものがあります。感動が大きくなることもあります。東京オリンピックが決まった時でも、みんな大喜びしたと思います。その東京オリンピックに、この福岡の地から、アビスパ福岡から、選手を派遣できたら本当に素晴らしいことです。子供たちの夢の受け皿になれるように、クラブが、福岡市が、スポンサーの方々が、アビスパのサッカーファミリーとしてひとつになれれば、本当に素晴らしいと思います。そういうクラブになりたいと思っています」

Q:10月に経営危機が明らかになったアビスパですが、そういった状況を、どのようなお気持ちでご覧になっていたのでしょうか?
「やはり観客動員の部分の仕掛けのところだとか、その辺のところをもう少しやっていかないといけないということと、身の丈経営をやるということが非常に大事なところだったと思います。観客動員のところにつきましては、やはり、いろんな方々のアイデアだったり、仕掛けのタイミングだったり、いろんなことがあると思います。もっと、もっと、知恵を出し合って協力し合うということがあれば、観客動員数は伸びると思いますし、是非、そういう意味でも、福岡県のサッカー協会の皆様や、報道関係の皆さんのご協力を得ながら、今後、是非、取り組んでいければと思っています。我々アビスパを取り巻く環境は厳しいものがありますが、それぞれの立場で、福岡市さんだったり、あるいはスポンサーの方々であったり、ファン、サポーターであったり、サッカーファミリーが歯車のひとつになって、みんなで回れば、きっといい方向へ回っていくと思いますし、収益的にも上がっていくと思います。そういう力を全力で、タイミングよく発信しながらやっていきたいと思っています」

Q:まだ社長候補という段階ですが、野見山さんが考える打開策として、どこに、何をという考えがあれば教えてください。
「やはりチームが強くならなければいけませんし、主役は選手、チームだと思います。それを支える我々も、チームも、プロの自覚を持つことだと思っています。まずチームが強くなければクラブ運営も良くならないと思っています。その中でも特に練習環境。監督さんは頼もしい監督さんでいらっしゃいますが、やはり、練習の環境の質を高めるというところからやらないといけないと思います。選手は見られて初めて育っていくものだと思っています。ですから、我々フロントは、全力でレベスタを満員にして、そういう空間をしっかり作ることが必要です。フロントは満員にする、選手はピッチで全力で戦う。そういう質の高い環境づくりを、まずはしたいと思っています。そのためには、いろんな意味で、市民の方々に参画して欲しいと思っています。これは今後、ご相談していくことなんですけれども、アドバイザリーボードを設立しながら、いろんな方々に参画していただいて、アビスパに興味を持ってもらう。あるいはアビスパを利用しながら、自分たちも楽しんでもらう。たとえば学生さんでいえば、今はスポーツマネジメントだとか、スポーツビジネスという学科が増えていると思います。そういう中で、我々アビスパの広報だとか、練習環境において、そういう学生さんが実践の場所としてアビスパを使っていただければ、大きな成長になるし、人材育成にもなると思います。そういった環境を整えながら、いろんな市民の方々にアビスパに興味を持っていただいて、参画していただける環境づくりに努めていきたいと思います。やはり、サッカー界、地域が連携して、経営につながっていくというのが理想的だと思いますので、いろんな方々の力を借りながら運営していきたいと思っています」

Q;野見山さんにとって、アビスパ福岡、サッカーは、どういった存在でしょうか?
「アビスパ福岡は、多分、私にとって最後のクラブになるのではないかと思っています。その中で、サッカーで育ってきた人間が、地元で最後を迎えるということは非常にうれしいことですし、本当に今困っているアビスパ福岡を、150万人の福岡市民の方々、周辺を入れれば300万人近い方々、またオール九州、九州のトップリーダーとしてクラブを作っていきたいと思っています。そして九州からいろんなところへ、Jリーグはもちろん、アジアに向けて福岡市はいろんなことをやられていますし、各企業さんもアジアに目を向けていらっしゃると思います。我々も、その一員になれればと思っていますので、是非とも、一緒になってアビスパ福岡を育てていきたいと思っていますし、再建していきたいと思っています」

Q:レベスタを満員にされたいということでしたが、具体的にどのようなことをお考えでしょうか?
「まずチケットの売り方だったり、チケットだけではなく、収益という面でターゲットを絞っての実績管理だったり、そういうところがまだまだ整理されているのかどうか分かりません。やはり、誰が、ここを何回まわったのかとか、実績管理を含めながらハードワークができればと思っています。あとは、サッカー協会等とも協力しながら、子供たちが試合を見れる日程作りだとか、環境づくり、あるいは、福岡の代表で全国大会へ行くチームの壮行会をレベスタでやったりとか、いろんな具体的な案を出しながらやっていきたいですね。少しずつだとは思いますし、一気に満員にするというのは程遠い話だと思います。積み重ねがすべてつながっていくと思いますので、我々は少しずつ広げていきたいと思っています。アビスパにはコアなサポーターの方々がいらっしゃいますし、そのほかにも大勢のサポーターの方がいらっしゃいます。何より、150万人の市民の方たちがいらっしゃいますので、そういった方たちに理解をしていただくというのが最初のスタートだと思います。答えになっていないかもしれませんが、地道な作戦でやっていければと思います」

Q:2年連続で赤字見込みだと思いますが、当面の打開策として、どのようなことをお考えでしょうか?それと鹿島での経験が長いと思いますが、常勝クラブでの経験で活かしたいことがあれば教えてください。
「まずクラブライセンスの話ですけれども、基本的には予算管理をしっかりするということに尽きると思います。その中で、少しずつ増やしていければということで、まさに身の丈の経営しかないと思っています。そのうえで、営業活動でハードワークし、少しでも改善していければ、来季の集客にもつながっていくでしょうし、いろんなものに取り組んでいけると思っています。まずはきちんとして予算管理だと思っています。
また鹿島の経験ということでいえば、鹿島の強みというのは、チームの立ち上げのときから、全く方針がぶれていないということです。ぶれない方針でやってきたことの結果だと思っています。外国人はブラジル人だけで、監督はブラジル人で、ブラジルのサッカーをしながら、我々のアイドルだったジーコのスピリットを継続しながらやってきたというのは、いまも変わっていないと思います。そういうところにおいて、クラブの相手をリスペクトする気持だったり、それを積み重ねてプロの集団になったということだと思っています。フロントもプロだと思います。自分がいたから何ですけれども、我々が見本とするクラブだと思っています。アビスパでも、そういうことを実践できればと思っています」

Q:J1昇格ということに関しては、どのようビジョンをお持ちでしょうか?
「福岡には、まずアビスパだけではなく、中学、高校に非常にポテンシャルの高いチームがあります。やはり、そういうところと、きちんと向き合って、まず子供たちにとっての将来の夢の最終到着地をアビスパにしてほしいと思っています。彼らの終着点が、他のクラブではなくアビスパであるべきだとも思っています。そういう意味では、高校の先生方と今までに築いてきた信頼関係を、改めて福岡に戻ってきたということで、先生方に甘えさせていただければと思っていますし、そういうことで共同作業をしながら、子供たちの最終目標がクラブであったり、プロであったり、日本代表であったり、そういうものをみんなの力で作り上げていきたいです。先生方も、安心して選手を送り込めるようなクラブにしたいと思っています。そこがJ1への選手の供給面、育成という点で重要だと思っています。大物選手を獲得できるような予算は、今の段階ではないと思います。スパンでいえば、今のメンバーから言えば、僕は5年くらいはかかると思っています。まあ3年で何とか上がってほしいということでしたよね(四宮局長に向かって)。そこは努力したいと思っています。チームというものは4年周期で変わっていくものです。そこで、やり方だったり、補強の仕方だったり、チームの切り替えを間違えると、J2に降格したりという状況が起こると思います。名門クラブであるガンバさんもそうですし、磐田さんもそうですし、チームの歯車が狂ってしまうと、そういう状況になってしまうと思います。反対に、チームは4年周期で変わっていくということですから、この4年を充実した4年にして、1年でも早くJ1に復帰して、チームの方々、サポーターの方々、また、スポンサーの方々と、本当にアビスパを応援して良かったねと思われるチームになりたいと思っています」

Q:プシュニク監督の続投が決まっていますが、野見山さんのプシュニク監督に対する評価を聞かせてください。
「監督につきましては、今年は3試合見させてもらいましたが、非常に情熱的な方だなというのが一番の印象です。まだトレーニングは見たことがないので何とも言いようがないのですが、皆さんの印象を聞くと、トレーニングの中で厳しいことをやっていらっしゃるということですから、トレーニングの環境が高くならないと良い結果は出ないと思っていますので、非常に頼もしい方だと思っています。ただ、おひとりで日本にいらっしゃっているということも聞いていますし、ストレスがたまることも多々あると思いますので、その辺を、何とかクラブ全体でサポートできればと思っています」

Q:サポーターにひと言お願いします。
「サポーターの皆様には、引き続き、アビスパ福岡を応援していただきたいと思っています。そして我々と一緒になっていただいて、そして我々はサポーターの皆様の力をお借りして、満員のレベルファイブスタジアムに選手を迎えたいと思っています。そのためにも、いろんな意味でコミュニケーションをとっていきたいと思っていますし、我々クラブからも、いろんな情報を発信していきたいと思います。是非、一緒になって、アビスパ福岡と、150万都市の福岡を盛り上げていきたいと思います。ご協力を、よろしくお願いします」

[中倉一志=取材・構成・写真]

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