「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】川森敬史代表取締役社長;「応援していただける全国のみなさんにもっと大きな喜びが伝えられるクラブになりたい」

◎川森敬史代表取締役社長(福岡);
【TV局による代表質問】
Q:残留が決まりました。今の率直な気持ちを聞かせてください。
「嬉しいのと、ほっとしています」

Q:今日もサポーターが多く駆けつけてくれました。やはりサポーターの声援が選手を鼓舞したというのはありますか?
「もうめちゃくちゃあったと思います。ゴール裏はもう上までいっぱいだったし、そこが完売したので浦和さんにメインの上の方も販売していただいて、サポーターのコールリーダーが『上の方も一緒に手拍子しましょうね』と言って声を出した時に、一番てっぺんにいるアビスパのサポーターの方も一緒に手拍子してくれました。今日は確か3万人を超えるお客様が入っていたと思いますが、1,600人というふうにアビスパのサポーターの数は聞いているので、本当に選手と一緒に戦ってくれたなと感じました」

Q:その声援を受けて、今日の選手たちというのは、社長から見てどのように映りましたか?
「バスを降りてきた時から、程よい緊張感と、あとは自分のパフォーマンスを最大限発揮する、チームのパフォーマンスを発揮するために普段通りに試合に入ることをみんな心がけてくれていたと思うので、何かいつもと違うというよりも、本当にみんなが程よい緊張感を持ちながら試合に入ってくれた様子でした」

Q:多くのファンサポーターが最終節まで残留争いを見守っていたと思いますが、良い報告ができますね。
「エンターテイメントとしてはもう最高なんですけれど、すごくひやひやしましたし、シーズン当初に『リアルでシビアな1年』になるのではないかというふうに考えていたんですけれども、単純にゲームの勝ち負けだけではなくコロナというものとも戦いつつ、本当にスタッフも含めて事業スタッフも、監督も、当然選手も一体となって戦えたシーズンかなというふうに感じています」

Q:今シーズンを振り返ると、コロナをはじめいろんなものと戦いながら掴んだ残留という結果です。その点について今シーズンを振り返ると、川森社長にはどのように映っていますか?
「すごくそこは去年にない厳しさがあった1年だったかなと思います。予期しない出来事もありましたし、去年にはなかった夏のウィンドウでの放出もありましたから、本当に与えられた環境の中で監督がものすごくうまくマネジメントしてくれて、コミュニケーションよくチームをまとめてくれて、自分に今与えられている環境の中で最大限のパフォーマンスが発揮できるように、ものすごくきめ細かく、でも時に厳しくチームをまとめてくれたというふうに感じています」

Q:先日は冨安選手がワールドカップ代表に召集されて、11月に入ってからはチームが残留を決めました。福岡にとっては嬉しいニュースが続いています。その辺についてはいかがですか?
「僕も嬉しいし、メディアのみなさんを通じてニュースを聞いていただくみなさんも、笑顔になっていただけたり、地域に対する誇りというものを感じていただける明るいニュースが届けられるのは、すごく嬉しいことだと思っています。ただ、僕たちはまだJ1の2年目で、今年はJ1定着というものを目標に掲げてシーズンを戦ってきました。今度は本当にもっと上のレベルで戦って、アビスパ福岡を応援していただける全国のみなさんにもっと大きな喜びというか、そういうものが伝えられるクラブになっていければなというふうに思っています」

Q:昨年は5年周期というジンクス破って、今シーズンはJ1定着、そして来シーズンは3年目の戦いをサポーターのみなさんがとても楽しみにしていると思います。来シーズンへの意気込みをお聞きしてもよろしいでしょうか?
「僕も楽しみです(笑)。ただ事業スタッフ、僕もそうなんですけれども、決算は1月31日なので、先週のホーム最終戦での挨拶の時にみなさんにお伝えさせていただきましたが、事業スタッフはまだここからの勝負がありますので、しっかり今シーズンをクローズできるように、僕も含めて、まずそこをやるということ。それに並行して来年に向けたことをするということです。今日はシーズンが終わったばかりなので、明日、僕もクラブハウスに行きますので、しっかりそこでみんなと話し合いながら、今年の選手たちに対してはねぎらいの言葉をかけて1年を締めくくりたいなと思っています」

Q:まだ気が早いかもしれないですけれども、今シーズンの戦いを見た上で、来シーズンは何位を目標にしたいとかありますか?
「数字は監督が話す役割分担になっているので、それは監督が決まって、監督が発表した時、年始になると思いますけれど、楽しみにしていただきたいと思います。クラブとしてはやはりJ1定着というもので、2年で定着とは言わないし、やはり最低3年なので、それを仕上げるのが来年になると思います。しっかり、来年はJ1定着ができる戦力を揃えたいと思います」

【質疑応答】
Q:順位こそ昨年を下回りましたが、今年も20数年ぶりの勝利という試合もありましたし、J2ができて以降、J1で3シーズン連続してプレーするのもクラブとしては初めてのことです。成績はともかく、いろんな意味で、また一つ成長しているのかなという印象があります。
「コロナだけが理由ではないと思いますが、夏場に勝てない時期が2ヶ月弱ありましたが、その時に監督もそうですし、選手も、フロントも、そこをどう過ごしたかというのが、その後の9月、10月に繋がっていると思うんですね。今までは、結構連勝をしていた時期で、少し負けてもすぐ勝ったり、連勝したりしていて、そこの浮き沈みがすぐにカバーできていたんですけれど、その長いトンネルを抜ける抜け方とか、抜けた後の爆発の仕方とか、そこはいつも監督が口にする『何かできないことがあったときには、まず自分に指を当てて、自分ができているのか、できていないのか。人じゃなくて自分だ』というものをチーム全員が体現することができて強いチームに年々なってきているなと思っています。ですから、順位だけでは測れないものがあるんじゃないかなと思っています」

Q:今日の試合はどのような気持ちで迎えられましたか?
「今日よりも、神戸戦とか札幌戦、そこの時の方が振り返ると、自分がふわふわしてしまった感じがして、今日は結構冷静に入れたかなと思います」

Q:札幌戦のあとに中断期間があったので、そこで立て直せるかなと思っていましたが、その通りになりました。
「そうですね。チームには降格を経験した選手もいるし、降格をせずにJ1に定着した経験のある選手もいますし、僕たちのチームの中ではそれが城後選手であったり、金森選手であったりしますけれども、『こういう時に踏ん張れないチームってこうだよ』というのが選手の中で共有されていて、チームスポーツなのでコミュニケーション不足が一番命取りになると思うのですが、やはり会話であったり目線であったり、そういうものが勝てない時期にも保たれていて、それが中断期間でまた増していました。結果として終盤になって逆転勝利がすごく多かったし、今日も追いついての引き分けなので、みんなの気持ちが本当に強くなったなと思います」

Q:年始の目標は8位以上、カップ戦ベスト4以上ということでしたが、1年を振り返ってどう評価されていますか?
「僕は高く評価しています。先ほども話した通り単純に順位で測れないこともありますし、やはり2年目の難しさを本当にみんなで乗り越えてくれたなというのを、言えることと言えないことがある中で、すごく良くやってくれた、良い意味でうまくやってくれたと思います」

Q:まだ来季のことは発表されていませんが、先ほど数字は監督が発表するとおっしゃっていました。クラブとしては長谷部監督の続投ということでしょうか?
「高く評価しています。今日はバタバタでみんな福岡に帰らなければいけないので、明日ちゃんと選手とも向き合って、監督とも向き合って、それが決まればみなさんにもお伝えしたいと思います」

Q:あまり練習は見られませんでしたが、チームの雰囲気が『残留しないといけない』というものではなくて『残留することにチャレンジする』というようなものだったという印象がありました。
「そうですね。受身ではなかったと思います。今から何か特別にうまくなるわけでもないし、やはり持っている力を最大限に発揮するにはポジティブに明るく、普段通りにするのが一番というのをみんなが持っていたし、監督がそういう雰囲気を作るし、『ここから負けられないぞ』みたいな感じになると萎縮してしまう部分があると思うんですけれど、そこがうまく、みんながそういう気持ちだったので、それがチームの雰囲気になり、またクラブの雰囲気になり、今こういうふうにクリアできたんじゃないかなと思います」

[中倉一志=取材・構成・写真]

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