石井紘人のFootball Referee Journal

無料:なぜ日本・JリーグのVARはカメラが中継映像よりも少ない12台なのか?佐藤隆治氏がワールドカップやプレミアリーグと比較【2024.2レフェリーブリーフィングレポート⑩】

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2月3日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会が今年第一回目となる『レフェリーブリーフィング』を開催した。

まずは扇谷健司JFA審判委員会委員長の挨拶、新たにJFAと契約するプロフェッショナルレフェリー(PR)になった方々の自己紹介でスタートし、新たにJリーグ担当統括となった佐藤隆治マネジャーが2024シーズンのスタンダードの説明を行った。

頭部の負傷への即座の対応や著しく不正なファウルプレーなどにしっかり対応することで【競技者の安全を守る】こと。ボールが腕に当たったらハンドなのではなく、【ハンドの反則】が適用されるポイント。【DOGSO】の再確認。【オフサイド】もインパクト、deliberate play(意図的なプレー)とDeflectionをどのように判断するのかが示された。またスタンダードとは別で、アディショナルタイム(AT)の確認、VARについては先日レポートした12台のカメラの配置だけでなく、

2024シーズンのJリーグの基準は?VARが使用する12台のカメラはどの位置から?スカウティングは?【2024.2レフェリーブリーフィングレポート②】

内情についても言及した。

 

佐藤マネジャーは、

「日本、Jリーグでは、VARに取り込めるカメラは最大12カメラになるのですが、Jリーグが毎試合「この試合はこのカメラプランでやります」と説明してくれます。

なので、いつもすべての試合が同じプランなのではなくて、毎試合違います。

同じなのは、どの試合でもカメラは最大12カメラです。

たとえば、試合によっては、中継映像のカメラが15台16台20台あるのは、中継映像を見ているとわかると思います。

ですが、いつも12台を運用しているオペレーターが、急に20台の処理は出来ません。

FIFAが主催するワールドカップだったり、イングランドのプレミアリーグは30台や40台のカメラを使っているじゃないか!と言われるかもしれませんが、オペレーターが二人や三人います。

12台よりもカメラ台数が増えるのであれば、一人体制では難しいということで、12台で運用しています。

ですから、もしかすると、皆さんが中継映像を見ていて“なんで中継に流れた映像を使わないんだ!”と思われるかもしれませんが、中継映像で流れているカメラを全てVARが使える訳ではないことを御理解頂ければと思います」

と現状を明かした。そこで記者からは「(3Dラインの使用含めたVAR介入時の)時間を

佐藤隆治氏、JリーグVAR担当マネジャー一年目の反省点は?「だいぶアクセルを踏んで、味付けを濃くしすぎてしまった」【レフェリーブリーフィング202312⑥】

短くするには、オペレーターが凄く大事だと思いましたが、どのような訓練をされているのでしょうか?」という質問があがった。

 

「我々レフェリーの話ですが、VARの資格をとっても、すぐにVARとしてアポイントがある訳ではありません。凄く時間がかかるので、普段のゲームとは違う土日を使ってトレーニングしています。例えば土曜日にゲームやって、日曜日はVARのシミュレーションやって、準備をして臨んでいく。

これはオペレーターの方も一緒です。本日含めて、今回三週に渡って土日でトレーニングしていますが、オペレーターの方も参加されています。まだまだ経験が浅い方もいらっしゃいまして、明らかにチェックに時間がかかってしまいます。

もしかすると、このトレーニングで新人のオペレーターの方の操作に苛々するかもしれませんが、それは我々VARも同じです。VARもオペレーターもそういったトレーニングを行うことで、時間を短くしていく。

レフェリー、VARだけではなくて、オペレーターも含めてワンチーム、レフェリーチームだと思っています」(佐藤マネジャー)とオペレーター含めて、“accuracy”と “speed”を高めていくと明言した。

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