サイドアタックの鹿島とディフェンスラインの裏を狙う水戸(前編)【試合分析】#いばらきサッカーフェスティバル #水戸ホーリーホック 0-1 #鹿島アントラーズ
【警告の代弁】サイドアタックの鹿島とディフェンスラインの裏を狙う水戸(前編)
2月1日に開催された「ADASTRIA いばらきサッカーフェスティバル2020」水戸ホーリーホック対鹿島アントラーズを観戦しました。快晴のケーズデンキスタジアム水戸の記者席から、試合開始前とハーフタイムと試合終了後に、Twitter(ツイッター)へ音声メッセージを投稿しました。
■試合開始前の声のメッセージ
快晴です。雨男なのにね。水戸対鹿島。観に来ました。前評判がいい水戸と過密日程の中の鹿島。試合開始20前です。 pic.twitter.com/DmK6rXQRrb
— 川本梅花@サッカーライター (@kawamoto_baika) February 1, 2020
■ハーフタイム中の声のメッセージ
ハーフタイムです。ちょっと肌寒いです。震えてます。でも、雨はなしです。 pic.twitter.com/1QozmLLmli
— 川本梅花@サッカーライター (@kawamoto_baika) February 1, 2020
■試合終了後の声のメッセージ
試合が終わりました。0-1。鹿島が勝ちました。 pic.twitter.com/bLfU41M9Vj
— 川本梅花@サッカーライター (@kawamoto_baika) February 1, 2020
次のスタジアム観戦、2月8日に開催される「FUJI XEROX SUPER CUP 2020」横浜F・マリノス対ヴィッセル神戸でも、同じことをやってみようと思います。
さて2020年の「いばらきサッカーフェスティバル」ですが、鹿島が1-0で勝利を収めました。茨城新聞が試合のダイジェスト映像を公開しています。
水戸のシステムは「4-4-2」の中盤がボックス型で、鹿島も同じシステムを採用しています。いわゆる「ミラーゲーム」です。両チームのシステムを組み合わせると以下のようになります。
それでは、試合分析を始めましょう。
■サイドアタックでズレを作る鹿島
「4-4-2」のボックス型と「4-4-2」のボックス型の「ミラーゲーム」の場合、どこで「ズレ」を作れるのかがポイントになります。同じシステム同士の戦いは、お互いに何もしなければ、選手同士が対面する構図になります。そのために「ズレ」を作って、自由に動けるスペースを生み出すことが必要になります。鹿島が「ズレ」を作るために取った攻撃戦術は「サイドアタック」でした。
「4-4-2」のシステムの場合、守備側は中盤のラインと最終ラインの横の関係性を築いてゾーンディフェンスを行います。ゾーンディフェンスの原則は、逆サイドを“捨てる”ことにあります。
ボールが右サイドにある場合、守備側の中盤と最終ラインのツーラインはボールサイドの右側にスライドします。この時、ボールのない左サイドにはスペースができます。すると攻撃側は、守備側選手をボールサイド(右サイド)に集めたところで、大きくボールを逆サイド(左サイド)に蹴る。そうなってから始めて、守備側は左のサイドへスライドするため“捨てる”と表現します。
“捨てる”とは言っても、そういう前提で守備をしているため、大きくボールを振られても、全体で素早くスライドする準備はできています。しかしボールサイドへ移動している途中で、逆サイドにボールを振られると厄介です。
この試合の鹿島も、水戸の選手がボールサイドへスライドするタイミングを見極め、逆サイドへとボールを振っていました。これにより、水戸の選手のスライドは遅れ、鹿島のサイドアタックは威力を増します。
特に鹿島の2人のセンターバック(CB)の関川郁万と町田浩樹のキックは、正確さとタイミングの良さで水戸の選手たちを迷わせます。サイドバック(SB)やセンターハーフ(CH)からの逆サイドへのキックではなく、CBからキックだったことが有効打となりました。
関川から和泉竜司へ蹴られたボール。あるいは、町田から荒木遼太郎へ送られたキック。左SBの山本脩斗から関川にボールが渡ると、水戸の選手は山本から関川の方にスライドさせます。そこで、関川は、大きなボールを和泉に送ります。水戸の選手は慌てて方向転換して今度は和泉の方にスライドしていきます。
しかし、関川が右SBの内田篤人にパスを出さず、逆サイドへボールを蹴ったことで、水戸のスライドに遅れが生じます。こうしたやり方を何度も繰り返す鹿島。結果、水戸は和泉や荒木にボールが渡った際の対応が遅れてしまう。この両選手は何度もゴールラインまで進み、ペナルティエリアへとマイナスのパスを供給していました。
水戸は、CBからサイドにボールが出されることを嫌って、水戸のサイドの選手があらかじめサイドライン近くにポジションを取ります。そうすると、今度はピッチの中央が薄くなります。
水戸はサイドアタックを気にするあまり、両サイドの距離が広がり、中央のスペースが空けてしまうことになる。鹿島の決勝点は、こうして薄くなった中央を攻略したことで生まれました。今季を占う意味でも、CBの正確なキックは鹿島にとって大きな武器となるでしょう。
(後編へ続く)
川本梅花