スペイン挑戦とWEリーグ開幕前での引退 元なでしこGK山根恵里奈の現在地<3/3>
■リオ五輪予選の敗退を契機にレアル・ベティスに移籍
──JFAアカデミーを卒業後、山根さんは2009年から11年まで東京電力女子サッカー部マリーゼ、そして12年から17年までジェフ千葉レディースでプレーしています。そして2017年からスペインに渡ってレアル・ベティスで2シーズン、プレーしていますよね?
山根 はい、そうです。
──今でこそ、スペイン女子はワールドカップ優勝国ですけど、2017年当時は強豪となる前であり、日本人選手の移籍先としてそれほど注目されていなかったと認識しています。加えて日本人GKの海外移籍って、けっこうハードルが高かったと思うんです。なぜあのタイミングで、スペイン行きを選択したのでしょうか?
山根 きっかけは2016年、リオ五輪予選での敗退でしたね。五輪を逃すと、2019年のワールドカップまで大きな大会がない。このタイミングで日本を離れて環境を変えたい、というのがまずありました。自分のことを誰も知らない場所に、身を置いてみたかったんです。
──五輪出場を逃した時、なでしこのメンバーがものすごいバッシングを浴びたじゃないですか。ご自身も相当にショックだったのでは?
山根 ショックはショックでしたけど、負けた原因は自分にあったので受け止めるしかなかったです。
──なるほど。それでスペインというのは、たまたまだったんでしょうか?
山根 そうですね。最初は英語圏の国に行けたらと思っていたんですけど、移籍先を選ぶのにはなかなかハードルが高くて。最後は「オファーがあればどこにでも」という感じでヒットしたのが、スペインのベティスでした。スペインの女子サッカーは、当時はまだ発展途上ということもあって、他の国よりも間口が広かったということもあります。タイミングが良かったんですね。
──ベティスでは、しっかりレギュラーポジションを掴んだということですが、日本のサッカーとのと違いはどのあたりに感じましたか?
山根 GKに関して言えば、練習メニューが日本とぜんぜん違っていたのが驚きでした。単にキャッチやキックするだけでなく、必ず連続したアクションがあるんですよ。動いてキャッチして、前に滑り込んでキャッチして、さらに立ち上がってボールを奪うとか。毎日の練習がフィジカルサーキットみたいな感じで、心肺系も含めて鍛えられましたね。
──スペイン時代は楽しかったですか?
山根 楽しかったです。もちろん大変なこともあったけれど、トータルで考えたらスペインに行って本当によかったです。あのままずっと日本にいたら、死んでいたかもしれない(笑)。
──ということは、もう少し長くプレーしたかった?
(残り 2174文字/全文: 3331文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ