【サッカー人気2位】【浦和を語ろう・激論編】セレッソ戦を前向きに厳しく振り返る…

宇都宮徹壱ウェブマガジン

自治体の税金を使わせる「税リーグ」という批判への回答 Jリーグはスタジアム建設にどう関わってきたのか<2/3>

ライセンスが認められたクリアソン新宿と渋谷の新スタ構想

──これからスタジアム作ろうとしているクラブや自治体にとって、広島や金沢や長崎の新スタで参考になる部分を挙げていただきたいのですが、いかがでしょうか?

佐藤 まず金沢については「15000人でなくてもいい」というところですよね。ホームタウン人口の少ないクラブは、アクセスが良くて屋根がカバーされていて、なおかつホスピタリティのあるスタジアムだったら、入場可能数緩和によってJ1ライセンスが交付されるようになりました。金沢市もそれほど人口が多くはないので(45万人)、数より質を選んだのは賢明と言えます。

 広島は適正なキャパシティに加えて「まちなか」に作ったのが大きかった。建設地の選定に時間はかかりましたけれど「まちなか」にしたことで、広島の中心街での経済効果は大いに期待できると思います。長崎についても、長崎駅から歩いて12分というアクセスの良さが素晴らしい。それと広島と長﨑には、いずれも常設のセンサリールームがあるんですね。

──センサリールームというのは?

佐藤 音や光などに過敏に反応する人、そしてそのご家族が、安心して観戦できる施設ですね(参照)。川崎フロンターレが2019年に最初に実施して、そこから徐々に広がっている感じです。最近のスタジアムは、バリアフリーは当たり前になっていますし、選手が間近に見られるトンネルラウンジも3つのスタジアムとも取り入れられています。金沢のゴースタでは、車椅子席からもトンネルラウンジにアクセスしやすくできています。

──トンネルラウンジは、これから作られるスタジアムでマストになりそうですよね。もうひとつ、個人的に評価したいのが「まちなかスタジアム」が、周囲の景観に馴染んでいたことです。広島にしても長崎にしても、それとわかる独自のフォルムなんですけれど、極端に目立つものではなく、むしろ街の風景に溶け込んでいる印象ですよね。

佐藤 長崎は、スタジアムシティ全体で1000億円と言われていますけれど、それほど派手な印象ではないですよね。しかも試合がない日でも、コンコースをすべてオープンにして、日常の中で楽しめる空間になっている。だんだん日本もヨーロッパに近づいてきた印象ですよね。

──こういった素晴らしいスタジアムが、西日本の地方都市でどんどん誕生している一方で、関東や東北でこうした動きがあまり見られないのが気になります。こうした西高東低の状況を、どう見ていますか?

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