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「今はプライベートでサッカー観戦を楽しんでます」 飯尾篤史が語る「ライター引退宣言」の真相<1/3>

 元同業者の飯尾篤史さんが、サッカーライターの引退宣言をしてから、ちょうど5カ月。衝撃的なポストを読んで、いつか必ず当人にインタビューしようと考えていた。満を持して、お届けするのが本稿である。

 飯尾さんは1975年生まれで東京都出身。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て2003年に日本スポーツ企画出版社に入社。週刊サッカーダイジェストの記者として活躍し、2012年にフリーランス転身後は国内外のサッカーを精力的に取材している。媒体露出も多く、いわゆる「売れっ子」だっただけに、突然の引退宣言には戸惑いしかなかった。

 引退の理由について、飯尾さんは年齢的な限界とメディアの変化という2点を挙げている。私自身、どちらも他人事とは思えない話であり、それは他の同業者についても同様であろう。そもそも、人間誰しも加齢は避けられないわけで、その間に周囲の環境もどんどん変化してゆく。そうして考えるなら、これはサッカーメディアに限った話ではないはずだ。

 周囲にとっては、まさに寝耳に水だった飯尾さんの引退宣言。だが、当人いわく「2021年から考えていた」という。その間、どのような葛藤があって、どのようなセカンドキャリアを思い描いているのか。そして現在、サッカー業界にどんな眼差しを向けているのか。さっそく本人の言葉に耳を傾けることにしたい。(取材日:2024102日@東京)

写真提供:飯尾篤史氏

引退後、EURO2024とパリ五輪を現地観戦

──今日はよろしくお願いします。529日、Xでライター引退宣言をしたわけですが、反響がすごかったみたいですね。

飯尾 めちゃくちゃありました。「こんなにファンがいるなら、辞める前にもっと応援してよ」みたいな(笑)。嬉しかったのは、ただ「いいね」を押すだけじゃなくて、コメントを残したり、直接DMをくれたりする方たちが多かったことですね。中には、それほど深い付き合いがない、あるいは直接お会いしたこともない同業者の方からも、ねぎらいのメッセージをいただきました。本当にありがたかったですね。こういうのって、次の人生のパワーになりますから。

──その後のポストを拝見すると、浦和レッズのホームゲームとか、さらにはドイツでのEUROやパリ五輪にも行っているじゃないですか。サッカーから距離をとるのかなと思っていたら、むしろ積極的にサッカーを楽しんでいますよね。

飯尾 サッカーを「一番の趣味」に戻すというのも、今回の決断の理由のひとつでした。海外の国際大会をプライベートで観戦するのは、大学生だった1998年のワールドカップ・フランス大会以来。で、初めての海外サッカー観戦は、その2年前にイングランドで開催されたEUROでした。それが自分にとっての原点だったので、ライターを辞めてすぐにEUROに行きたかったんです。

──チケットは、すぐにゲットできたんですか?

飯尾 それがお恥ずかしい話で、ずっとプレスで入っていたので、チケットの取り方がよくわからなくて(苦笑)。辞めたのが5月末で、EUROの開幕が614日ですから「どうしようかな」と思っていたんです。そうしたら、かつての仕事仲間から「チケットが余っているんですけど、行きません?」って誘われて、それで即決しました。

──EUROが海外サッカー観戦の原点だった、というのはわかるんですけど、パリ五輪については複雑な思いだったんじゃないですか? というのも、飯尾さんは大岩剛監督が率いるパリ世代の日本代表を、誰よりも追いかけていたじゃないですか。

飯尾 そうなんですよ。正直、ずっと取材者だったのに、最後は観客としてスタンドで観戦することに、多少の迷いはありました。でも、あまりにもドイツでのEUROが面白かったんですよね(笑)。それとチケットの取り方もわかってきたので、パリ五輪については自分の仕事のけじめとして、純粋にいち観客として楽しんだという感じでした。

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