J1第9節全試合振り返りLIVE(J論)【4/7(月)22時】

宇都宮徹壱ウェブマガジン

「忖度しない」黒田剛監督とFC町田ゼルビアへの想い 「5つのJクラブ強化に携わってきた男」唐井直<2/3>

黒田監督が語った「僕は忖度しませんから」の意味

──ここから、FC町田ゼルビアの話に移りたいと思います。唐井さんが町田を離れた翌年、2023年にJ2優勝を果たしてJ1昇格。そして今季のJ1での躍進ぶりは誰もが知るところです。現在の町田について、唐井さんはどうご覧になっているのでしょうか?

唐井 昨シーズンに優勝した、ヴィッセル神戸もそうなんですけれども、お金のかけ方が半端ないですね。来年の今くらいに今年の経営規模が出ると思うんですが、去年で30億円でした。清水の51億はともかくとして、これはもうJ2では破格でしたね。J1でも真ん中くらいの予算で、J2で戦っていたのが去年の町田でした。

──しかも、ただ大金を使っているだけじゃなくて、補強についても的確ですよね。唐井さんは黒田さんとお話されたことは?

唐井 ありますよ。「やあやあ、初めまして」から始まって「唐井さん、僕はもう(青森)山田で20年失敗していますから。最後の10年だけですよ」っておっしゃるんですよ。冷静に自分のことを認識していながら、チームを勝たせることへの徹底度がすごい人ですよね。もうひとつ印象的だった言葉が「唐井さん、僕は忖度しませんから」と。

──忖度しない、というと?

唐井 つまり、外国籍の選手だろうが日本代表だろうが忖度しない、ということですね「日本人のS級指導者だと忖度するだろうけど」とも言っていたんですが、実際にその通りのことをされていますよ。やっかみで揶揄する人もいますけれど、黒田さん自身は「このやり方が他でできるとも思っていません。ここだからできた」と、いたって冷静でした。

──黒田さんがいう「ここだからできた」というのは、町田というよりもサイバーエージェントを指していると思います。その点については、いかがでしょうか?

唐井 いい意味で「常識にとらわれない」ですよね。だって、J2から上がったばかりのクラブが、エリキを獲りにいきますか? 日本代表の相馬(勇紀)を獲りにいきますか? 普通のJ1クラブなら「ちょっと難しいですよね」ってなるじゃないですか。でも、サイバーエージェントは違う。「この選手とこの選手、当たってみようか」という感じで、フットワークが軽いですよね。

(残り 2427文字/全文: 3418文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ