混沌J2の今後を展望するLIVE(J論)【4/10(木)21時】

宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】「国立開催」と「無料招待」の狙いとは? 空前のプロモーションについてJリーグに訊く<3/3>

3回足を運ぶとリピーターになる」と言われているが

──それでは実際のところ、どれくらいの新規IDを集めることができたんでしょうか?

丸山 今回の全国キャンペーンで獲得できた、新規のIDの数がおよそ5万件だったんです。もともとの目標設定が3万件でしたから、それを2万件上回ったことになります。国立の試合だけでも、35000件取れていますので、その時点で目標をクリアすることができました。

笹田 新規だけでなく、すでにIDをお持ちでスタジアムから遠ざかっていた方々のデータも把握しています。今回、ご応募いただいた方々の割合でいえば、およそ4割がコロナ禍以降はスタジアム観戦を控えていたか、IDは持っていても一度も観戦に訪れていなかったんですよね。そうした「カムバック層」にもしっかりアピールできたという点でも、狙い通りにいったのかなと思っています。

 今年のJリーグのマーケティング戦略は、もちろん新規も重視しているんですが、その定義が「Jリーグを知っているけども行ったことがない層」と「Jリーグは過去に行っていたけれど最近行ってない層」という2つの層を注力ターゲットとしてきました。そのためのグループインタビューも頻繁に行って、どのような告知やクリエイティブを施せば関心を持っていただけるのか、しっかり精査していきました。

──そうした地道なリサーチは、結果に表れていたということですね。逆に課題といいますか「もう少し、こうなればよかった」というものはありましたでしょうか?

笹田 TVCMに関しては、もう少しローカライズを意識したほうがよかったかな、というのがあります。今回は関東、静岡、福岡の3つのエリアでCMを打ちました。それで最後の3秒だけ、それぞれのエリアの招待試合をフィーチャーしたんですが、もう少しその割合を増やしたほうがいいかなと。登場する選手も、それぞれのエリアで認知度の高い選手を出したほうが、さらによい反応が期待できると思います。もちろん手間はかかるんですが、それだけの効果は得られると思いますので。

──CMに関して、勝澤さんのほうから補足はありますか?

勝澤 現チェアマンの野々村も、コンサドーレの社長時代に「北海道のローカルスターをどれだけ作って売り出していくかが重要」という考え方です。それぞれのクラブに「この選手を売り出していこう」というのを明確にすることで、CMだけでなく地元メディアの皆さんにも取り上げていただいて、より露出を増やしてスタジアムに足を運んでいただくチャンスを作れればと思っています。

 それと先ほど、笹田のほうから「CMを放送してから、一定期間にどれだけ検索が伸びたのか」という話がありました。当初の予想としては「普段、スポーツ番組を視聴している層が検索してくれるだろう」と思っていたのですが、実際にはバラエティ番組を楽しんでいるようなファミリー層からのアクセスが多かったですね。それほどスポーツに関心がない方々にも検索いただいたという点は、今回の新たな気付きとなりました。

──今回のプロジェクトで得られた新規ID、そして久しぶりにスタジアムに足を運んだというカムバック層を、今後いかにリピーターにつなげていくのかというのが、次のステップになるかと思います。「試合に3回足を運ぶと、リピーターになる確率が高まる」と言われていますが、今後どのような施策を考えていますでしょうか?

笹田 今回得られたデータを活用しながら、次の山場である夏休み期に向けて各クラブと連携しながら、大型プロモーションのキャンペーンをやっていくことになるかと思います。「3回足を運ぶと」というのは、確かにそのとおりなんですけれど、コロナの状況を考えると年3回というハードルは高いのかもしれません。そこは、もう少し長いレンジでの3回、という考え方が必要になるかと思います。

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