【無料公開】宮崎で復活に賭ける男と宮崎でチャンスをつかんだ男(2022年3月26日@ギオンス)
日本代表のワールドカップ出場が決まった直後の週末、相模原ギオンススタジアムで行われたSC相模原vsテゲバジャーロ宮崎を取材した。お目当てはどちらかというと宮崎。九州リーグ時代とJFL時代は見ているが、J3となってから取材するのは今回が初めてであった。
- 前節はいわきFCとのアウェー戦に敗れ、12位に後退した相模原。ホームに戻って5位の宮崎を迎えた。
- この日は強風が吹き付けていたため、スポンサーの看板はすべて倒された上に重りが置かれていた。
- 前半、風上を選んだ宮崎がゲームを優位に進める。もっともセットプレーでは、ボールを置くのも一苦労。
- 誰よりも苦労を強いられたのはGKだ。相模原の圍謙太朗は落下点を読みきれず、無理な体勢でキャッチ。
- 前半の宮崎で最も躍動していた、左サイドバックの新保海鈴は19歳。実父は松本山雅FCの田中隼磨。
- 宮崎がようやくネットを揺らしたのは45+1分。元日本代表の工藤壮人が混戦から右足で押し込んだ。
- 前半のシュート数は相模原2に対して宮崎は13。エンドが替わると、当然ながら相模原のペースになる。
- 雨が降ってきたので、慌てて雨具を取りに行く間に相模原が追いついた。56分に決めたのは藤沼拓夢。
- 後半から途中出場の藤沼は、87分にも船山貴之のクロスからゴール。水本裕貴が喜色満面で祝福する。
- 2−1で相模原が逆転勝利。試合後、圍と植田峻佑の両GKが、互いの健闘を称える姿が印象的だった。
- 試合後の会見に臨む宮崎の高崎康嗣監督。リアルでの会見解禁にコロナ明けが近いことを実感する。
風上に立つチームがハーフコートゲームを展開する、非常にわかりやすい試合を制したのは相模原だった。どちらかといえば、前半のほうが風の影響を受けやすく、一方的に攻め込んでいた宮崎もボールコントロールに苦しんでいた。あくまで結果論だが、宮崎が前半に風下を選んでいたら、違った結果もあり得たかもしれない。
先制ゴールを決めた工藤は、柏レイソルでブレイクして日本代表に選出されたのち、バンクーバー・ホワイトキャップス(CAN)、サンフレッチェ広島、レノファ山口FC(レンタル)、ブリスベン・ロアーFC(AUS)でプレー。3年ぶりに帰国した今年、宮崎での復活に賭ける。31歳という年齢を考えれば、これからの捲土重来は十分に期待できそうだ。
一方、この日2ゴールを挙げた藤沼は、やはり今季から加入の24歳。大宮アルディージャのユース出身で、J3クラブでの武者修行を積んだものの、大宮ではリーグ戦での出場機会がないまま昨年末に契約満了となっていた。そして今年、宮崎県で開催されたトライアウト型キャンプ「#Reback2022」に参加。相模原の一員に迎えられ、移籍後初出場で初ゴールを挙げた。
宮崎で復活に賭ける男、そして宮崎でチャンスをつかんだ男──。宮崎といえば「パワースポットが多い」ことを観光アピールとしているが、この日のギオンスでの試合を見ていると、あながち間違っていないようにも感じられた。
<この稿、了>