宇都宮徹壱ウェブマガジン

同世代監督による、スリリングな消耗戦 今日の現場から(2016年8月7日@フクアリ)

 8月になって最初のJリーグ取材は、J2リーグ第27節、ジェフユナイテッド千葉対愛媛FCをチョイスした。千葉は長谷部茂利監督に代わって初めてのホームゲーム。対する愛媛は、木山隆之監督が古巣相手にどのような戦いを見せるかが個人的な注目点であった。

 試合が始まってまず驚いたのが、アウエーの愛媛が千葉を圧倒していたことだ。戦力でも選手層でも千葉が上回るのが明らかだが、木内体制2年目の愛媛はチームとしての上積みという点で優っていた。3-4-2-1の幅を活かしたスタイルに加え、「千葉と対戦するにあたりプレッシャーかけるトレーニング」を徹底。しかも「(プレスに)行けば、だいたい取れる感じ」という監督の言葉どおり、愛媛は前半のほとんどの時間帯を相手陣内で展開し、2ケタのシュート数を放っていた。

 だが、シュートを打てども決定機はなかなか作れず、前半は0-0で終了。そして後半15分、千葉が2人目の交代で佐藤勇人を下げてアランダを投入してからは、次第にゲームの主導権は相手に移ってゆく。「アランダが入ってから、ボールが取れなくなって時間を作られ、相手に落ち着きが生まれた。これは能力の問題」と木山監督。

 結局、有効な交代カードも切れなかったことに加え、前半で飛ばしすぎたこともたたって、終盤の愛媛は防戦一方。ここでGK児玉剛が再三にわたってビッグセーブを見せ、何とかスコアレスドローで試合を終えた。ホイッスルが鳴った瞬間、両チームの何人かの選手が消耗のあまり座り込んでしまったのが印象的であった。

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