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「電通とFIFA」を結びつけた日本人の軌跡 田崎健太(ノンフィクション作家)インタビュー

 今号は、このほど『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』を上梓された、ノンフィクション作家の田崎健太さんにご登場いただく。田崎さんには、三浦知良の父・納谷宣雄氏の半生を描いた『ザ・キングファーザー』の著者インタビューで初登場していただき(通巻163号、164号)、今回が2回目となる。

 昨年明るみに出たFIFAのスキャンダルをめぐっては、今年2月26日のFIFA会長選挙で45歳のUEFA事務局長、ジャンニ・インファンティーノ氏が選出されたことで一旦は収束に向かうかと思われていた。ところがその後、明らかになった『パナマ文書』によって、インファンティノ新会長に「放映権の獲得に関連する書類に不正疑惑があった」として、UEFA本部に捜査が入るとの報道もあった(参照)

 FIFAを巡る疑惑が依然として予断を許さない中、あらためて田崎さんの書籍は一読の価値があると言えよう。FIFAを告発した書籍としては、アンドリュー・ジェニングス氏の『FIFA 腐敗の全内幕 』が知られているが、電通とFIFAとの関係性に絞って描かれた本書は、日本についてほとんど触れていなかったジェニングス氏の著書を補完して余りある、実に示唆と刺激に満ちた内容となっている。

 長年、FIFAとスポーツビジネスについて取材してきた田崎さんにとり、本書はひとつの集大成という意味合いがあったはずだ。今回の著者インタビューでは、「電通とFIFA」というメインテーマのみならず、知られざる日本スポーツビジネス黎明期の話や、ワールドカップ招致活動の「闇」についても語っていただいた。(取材日:2016年3月22日@東京)


■「消去法」で決まったFIFA会長選挙

──今日はよろしくお願いします。まず、この本の反響から伺いたいのですが、重版は決まりましたか?

田崎 1回かかりましたね。(編集者の樋口さんに)わりと動きは速かったよね?

樋口 スポーツの本の中では速かったですね。1週間以内で増刷3000部が決まりました。やっぱりタイムリーだったことが大きかったと思います。

──確かに、FIFAの汚職事件や会長選挙といった追い風もあったと思いますが、一般の日本人にとって、それらが遠い世界の出来事であったことは否めません。そこで今回の田崎さんの本はFIFAだけでなく、電通という大企業名もタイトルに持ってきて、日本人にもとっつきやすいテーマにしたことが大きかったと思います。その点は意識されましたか?

田崎 そうですね。2006年に『W杯30年戦争』を出した頃、まだまだネットから十分な資料を見つけるのが難しかったんですよ。ですからあの本を出して以降も、定期的にいろんな資料を集めていたんですが、いつしかFIFAと電通とがリンクする真ん中にいた高橋治之さんを中心に、この2つの組織について書けないだろうかと考えるようになりました。

──高橋さんのお話は後ほどじっくり伺うとして、先ごろ行われたFIFA会長選挙で、UEFA出身のインファンティノ氏が新会長に選ばれました。ブラッター前会長よりも35歳も若い人物が選ばれたわけですが、この結果を田崎さんはどう見ていますか?

田崎 まぁ結果的に言うと「消去法」だったと思うんですよね。UEFAの人間がならざるを得ないと思っていましたし、(UEFA会長の)プラティニが出馬できない以上、その後継者たる人間にするしかないという落としどころですよね。あとは若いことと、FIFAの悪癖に染まりきっていないだろうということ。逆にプラティニが会長になったとしても、改革は難しかったと思います。

──アジアからFIFA会長が選出される可能性は、やはり低かったでしょうか?

田崎 ヨルダンのアリ王子とかですか? 言語道断でしょ(笑)。申し訳ないけど、そうした非民主的な国から出てきた王族の人が、民主主義の組織を理解できないでしょ。だから僕はAFCが彼を推薦したのには大反対でしたよ。

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