kumamoto Football Journal

【マッチレビュー】第26節 vs.東京V/4試合ぶりの敗戦。足りなかったのは、何か。

20160731東京V戦

  • 明治安田生命J2リーグ第26節
  • 東京V 1−0 ロアッソ熊本
  • 得点/髙木善朗(78分:東京V)

 

アウェイ・味の素スタジアムでの東京Vとの一戦は、終盤に1点を許して完封負け。しかし、たとえば前半37分の嶋田慎太郎の左足ミドル(これはポストに当たってゴールならず)や終了間際の八久保颯のヘディングシュート(これもクロスバーに阻まれてノーゴール)と、少ないながらも決定機は作っている。

もちろん、この2つの場面で足りなかったのは精度ということになるわけだが、ゲームを通じて振り返った時、清川浩行監督や選手達の口から聞かれたのは、相手の出足の早さに対し後手に回ってしまったということ。たしかに、試合の序盤から東京Vのテンポの速さに戸惑い、あるいは縦への仕掛けについていけない場面も見られた。ただ、そうしたなかにあっても失点するまではうまくしのいでコントロールしていた印象もある。後半のシュート数も相手の方が多いものの、選手間の距離やアングルが修正され、中盤でうまく引っ掛けて攻撃に転じる回数も増え、テンポ良くボールが動くようになっていたからだ。

「途中から入って、相手が下がっていたこともあって間も空いていたし、ボールも持ててチャンスも作れていたので、“勝てる感じ”はあったと思います」と岡本賢明は言う。ただ、「たぶん、相手はもうそれしかない」(岡本)と警戒していたはずのカウンターが、失点につながった。

二川孝広に代わって入ったアラン・ピニェイロの突破を許したこと、最後に詰めた髙木善朗をうまくつかまえきれていなかったことも要因だが、「シュートで終われなかったのも原因。どこかで食い止めることはできたと思う」と岡本。「自分たちは隙を突けなかったけど、相手に隙を与えてしまった」(同)のだった。

この1点が最終的には勝負を分けたが、ゲームを通して守備が不安定だったかというとそうではなかったように思う。ドリブルの仕掛けをうまく遅らせることができなかった場面はいくつかあったものの、センターバックの2人はよく跳ね返し、カバーし合って危ないポイントを潰したほか、佐藤も決定機を防ぐ好反応を見せるなど、劣勢となった前半を0点に抑えて折り返したのはプランの範囲内だったと言っていい。むしろ後半に流れをやや引き戻してチャンスを作った中で得点を奪えなかったことの方が、結果に作用した影響は小さくない。

アディショナルタイムの八久保のヘディングシュート以外にも、フィニッシュに結べそうな場面はあった。嶋田慎太郎のサイドチェンジから藏川洋平、平繁龍一とつないでバイタルまで運んだ52分、中盤でのボール奪取から早い切り替えでクロスまで持っていった54分、藏川の縦パスから岡本、八久保とつなぎ植田龍仁朗と嶋田が詰めた66分など。いずれも精度という要素も課題として残る場面だが、サポートの枚数を増やしたり、ボールホルダー自身がゴールに向かう姿勢をーーフェイクであってもーー入れたりすることで、より相手に脅威を与え、また得点の確率を高めることにつながる可能性はある。そうした場面でイメージを合わせて、より“圧”を増し、さらには、あくまでファーストチョイスとしてはゴールへ向かう選択肢があると“匂わせる”ことで、相手を引っ張り出し、ボールサイドに寄せ、ひいてはオフ・ザ・ボールでフリーの状況を作り出すことにもなる。

結果的に敗れたため、実際にピッチで戦った選手達の中にも「気持ちや運動量、予測の部分」(佐藤昭大)で相手を上回れなかったという感覚があるのはやむを得ない。ただそれ以上に、特に攻撃におけるコレクティブな連動に物足りなさを感じる一戦だった。

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