kumamoto Football Journal

【マッチレビュー】第23節 vs.横浜FC/勝ちきれずも取り戻した自信。

20260716横浜戦

  • 明治安田生命J2リーグ第23節
  • 横浜FC 1−1 ロアッソ熊本
  • 得点/八久保颯(3分:熊本)、イバ(86分:横浜FC)

 

原点、すなわち「ボールを奪いに行く」という守備スタンスに立ち返って臨んだ横浜FC戦。清川浩行監督はいくつかの決断をした。1つはスタートの布陣を[4-4-2]に戻すこと、もう1つは、清水戦の交代出場で短いプレー時間ながら持ち味を披露していたルーキー八久保颯を先発起用することである。連敗中の試合では相手に怖さを与えることができなかったと、攻撃では背後を狙った配球を意識付けし、巻誠一郎を2トップの一角に据えたことも効果を発揮。3分の先制につながる。

「持っている力を全部出して、自信を持ってプレーすることが結果につながると思っていた」という八久保は、チームとしての狙いも踏まえ「その場所(セカンドボールの争点)にいることが自分の役割」と、巻が競ったあとの落下点に相手より早く反応。難しい場所、難しいボールながら右足をしっかりミートして、抑えのきいたシュートを枠におさめた。

その後は相手にボールを握られる時間が増えていくなかでも、早めのリードを奪ったことで戦い方の意思統一はできていた。シュートに持ち込む回数こそ多くなかったとは言え、巻をターゲットにしたロングボールとセカンドボール回収から左右への展開、あるいは奪ってからの早い切り替えと背後への配球、ワンタッチでのパス交換など、狙いとした要素は随所で見せている。また、相手の中盤、特に寺田紳一と佐藤謙介に対しては対面からに加えて巻と平繁龍一の両FWも献身的なプレスバックで潰しにかかり、最終ラインの明確なアップダウンでスペースを消して横浜に流れからは形を作らせない。そうした狙い通りの試合運びがある程度はできていたからこそ、前半アディショナルタイムの巻の退場は痛かった。

後半、[4-4-1]の形で守りに入った熊本だが、やはり1人少ない状況は攻守両面で影響が出る。高い位置でボールが収まらないために時間ができず、全体が押し上げられなくなり完全に横浜FCのペースに。ただ相手が出てくれば自ずとスペースができ、カウンターのチャンスは広がる。そこで清川監督は57分、平繁に代えて齋藤恵太、さらに68分には守備でも貢献していた中山雄登に代えて嶋田慎太郎を投入。齊藤も嶋田も自らの役割を理解してDFラインと駆け引きを続け、追加点こそ奪えないまでも、終盤まで全員でよく耐え、GK佐藤昭大の好守などでしのいではいた。

85分に与えたPKは、クロスボールのクリアに対して嶋田が身体を入れた際、市村篤司をひっかけてしまった形。落下点の予測や身体の入れ方、その前のクリア、あるいはクロスを入れた田所諒への対応など要因は様々ある。しかしやはり、1人少なくなった影響で「はがされ方やボールへのアタック、クリアか、つなぐのかの質」(齋藤)が低くなったこと、ひいては押し込まれる展開となってしまった90分間のゲームコントロール全体も起因したと言うべきだろう。

残り数分でのもったいない失点によって勝点2をこぼした恰好だが、それでも10人の状態でよく粘り、最低限の勝点を得て連敗を止めたという結果にも目を向けたい。巻の出場停止ふくめ、警告の累積状況も考慮すればまだ厳しい戦いが続くが、この試合で少なからず取り戻した自信を、次のゲームにつなぐ。

 

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