J1第10節全試合振り返りLIVE(J論)【4/14(月)22時】

中野吉之伴フッスバルラボ

【欧州サッカー紀行】ドイツ鉄道の遅延とバトルし、荷物が預けられずに四苦八苦した欧州選手権観戦

ドイツで開催された欧州選手権が終わって1週間。まだ体にはあの頃の熱がじわじわと残っている。

今大会ではグループリーグ3試合取材、チケット購入で1試合観戦、決勝トーナメントに入ってからは計3試合取材ができ、現地でその雰囲気を間近で感じることができた。スタジアム以外にもファンゾーンで観戦したり、スポーツバーの大型テレビで飲みながら見たり、地元の村祭りにできた大型スクリーンで一喜一憂したりと満喫。そして今もその熱さは僕の心を温め続けている。

ただ欧州サッカーについて日本メディアで記事を書くのは年々難しくなってきている。需要と供給のバランスで成り立つところもあるので、日本で欧州サッカーの様子に興味を持っている人が少なくなっているのだとしたら、アップできる機会がなくなってくるのはしょうがないのかもしれない。

でもだからといって、そこで繰り広げられるサッカーのクオリティもそうだし、スタジアム中を巻き込んでの激しい熱気もそうだし、各地を巡る旅の中で起こった珍事の数々がお蔵入りになってしまうのはとてももったいない。

そこで今回は新しい試みとしてnoteで【中野吉之伴の欧州サッカー紀行《欧州選手権でドイツをめぐる旅》】を書いてみた。

有料版で1500円での販売となるが、分量的にも内容的にも盛りだくさんで、きっと読んだみなさんに、『サッカーを巡る旅に出たい!』と思ってもらえるのではと。

全チーム、全試合を網羅はできないが、この1か月の間僕が実際に現場で取材してきた試合について、試合後の記者会見やファンの様子について、開催都市でのファンとの触れ合いについて、センセーショナルな結果を残した国々の取り組みについてなどなどを書きまとめたものだ。7万3千字以上と一冊の本になるほどの分量。

サッカーについてだけではなく、旅物語としても読める仕様になっているので、いろんな方にぜひぜひ読んでいただきたい。

《目次》

はじめに
開幕戦 ベッケンバウアーを偲ぶ
ベルリン中がウキウキ
躍動したオーストリア
悪しきを駄目だということの大切さ
ホテルでひと騒動
強いドイツ代表の復活なるか
街のあちこちにサプライズ
ルーマニアの黄色とベルギーの赤
デブルイネの存在感
ルーマニアにおけるハジの存在感
ホテルに帰るまでが取材
ユーロ開催中の子どもたち
ドイツ人ぽさって?
オランダの度肝を抜いたオーストリア
ラングニック教授の考察
またしてもホテルで苦難
ドイツ鉄道の遅延とのバトル
荷物預けはどこだ??
飲み物3杯でこの値段??
ヒホンの惨劇の再来?
ジョージアサッカーがもたらした歓喜
悩ましい決断
イタリアの失墜、スイスの躍進
開催国ドイツがベスト8進出
ジョージアファンの男の子
いいサッカー=勝てるサッカーではないが…
ベルギーとデブルイネが散った
ロナウドの涙とその力
トルコの情熱に焦がされた夜
運命のドイツ対スペイン対決
ドイツ、届かなかった1点
レジェンドとの別れ
予想が外れ続けた準々決勝
スペイン決勝進出
ふいに届いた吉報
サッカーはだれのためのもの?
勝つべきチームが勝った
悲願ならずのイングランド
新時代のサッカーを魅せたスペイン
おわりに

さて、今回フッスバルラボではその一部をご紹介したいと思う。

▼ ドイツ鉄道の遅延とのバトル

ドイツ鉄道の遅延は日常茶飯事。それはもう批判することも、肯定することもない事実。晴れる日もあれば、雨の日もあるくらいの感覚で対峙している。

取材活動が多い僕はそれこそ頻繁に電車移動を選ぶわけだが、基本的にいつも十分ゆとりを持ったスケジュールで動くようにしている。乗り継ぎに間に合わないこともありうるから、それなら逆に乗り継ぎ駅でカフェ休憩をしたり、ちょっとぶらぶら町散策をしたりという機会にしたりする。

先日バイエルン州が洪水の影響で鉄道網だけではなく、交通機関の多くがマヒすることがあった。ニュルンベルクでドイツ代表とウクライナ代表の親善試合が行われる日もその時だった。

普段のルートでは難しかったが、遠回りする路線をうまく乗り継いだら、無事にたどり着くことができた。こうした自然災害時だと的確に電車を走らせてくれてありがとうという思いが湧き出てくる。あるいは車内やホームで急患がでて居合わせたお医者さんが懸命な措置をとっているために遅延というのも理解できる。何が大事かの優先順位は明確にされるべき。

一度フライブルクから少し離れた町の駅で急患が出たためしばらく電車が運行を見合わせるということがあった。ほかの人は落ち着いた様子で待っている中、駅のインフォーメーションで一人の中年男性が執拗に文句を言っている。

しばらくは事情を説明し、理解を求めていた駅の係員が、いい加減堪忍袋の緒が切れたのか、「そんなに急いでいるなら、今すぐ現場に駆けつけてあなたが状況を解決してくればいい!」とぴしゃり。言い返すこともできずにその人は離れていったが、この時の僕の心情は駅員サイドにあった。今まさに必死になって状況に対応しようといるときに、それ以上のことを求められたら、言うべきことは言うべきなのだろう。

だからといってドイツ鉄道のすべてを肯定するつもりももちろんない。故障が頻繁に起こるし、予定されていた運転士が急病や急用で人員が間に合わないので欠便となるとこちらはたいそう困るのだ。動いてくれるのであれば何とか対応を考えられるけど、動きもさえしない、代行のバスもないだとどうしようもない。

それがために当時鎌田大地と長谷部誠がプレーしていたフランクフルトが、クラブ史上初めてとなるチャンピオンズリーグの取材に行けなかったのは正に痛恨。歴史的な瞬間だったのに。電車料金は請求できても、取材に行けなかったことでの損害を請求することはできないのだ。

さて、ヴォルフスブルクを出た僕が向かった先はシュツットガルト。この日はベルギーとウクライナの一戦をチケット購入での観戦だ。そして僕一人ではなく、息子2人もフライブルクから駆けつける。

ドイツ開催での欧州選手権を体感できる機会はそうそうあるものではない。次の機会となると数十年後となる。だがチケット獲得は至難の業だし、セカンドマーケットも高騰の一途。ドイツ戦はさすがに無理だったが、ただ平日夕方の試合は比較的空きがあり、シュツットガルトのベルギー対ウクライナ戦のチケットを購入することができた。

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