【対談】海外生活への順応・適応能力は生きる力になる。滝雅美から学ぶコミュニケーションの大切さ
滝さんとは数年前に僕がJFAアカデミーダイレクター研修のドイツ担当をした時から仲良くしてもらっています。一時帰国時に一緒にJリーグの試合を観戦したりもしました。
自分の信念があって、それを形にするための行動力があって、選手を守る男気があって。
カッコいいです!
https://t.co/gvTOtaWGGc— 吉之伴@
サッカー指導者/サッカーライター (@kichinosuken) January 18, 2021
▼ 海外で挑戦するということ
6月3日にタイでの指導者経験が豊富な滝雅美さんをお迎えしてWEB対談を行いました。予想通りにとても濃厚なお話で、学び多き時間となりましたね。
行き先がドイツだからとか、タイだからというのは実はそこまで大きなポイントではなく、まず第一歩として「日本を出る」「日本の外から日本を見る」「自分の習慣・価値観がない/少ない世界で暮らす」ことが大事だったりします。
心理学的にも「人の成長にはコンフォートゾーンを飛び出してチャレンジすることが必要」というのがありますが、自分のそれまでのルーティーンや常識では上手くいかないところで試行錯誤して取り組むからこそ、人としての深みがうまれてくるわけです。
その先が無理に海外である必要もなく、日本だってところ変われば品代わり、考え方も常識も全然違うこともあるわけです。違いを発見して、驚いて、その事実に好奇心をもってという経験が豊富な人は、自分と異なる価値観や指針を持った人にもリスペクトをもって接することができたりします。
人は世間的な価値観とそこにある社会的評価軸でその人やその人の取り組みを判断しがちです。先入観というのは本当に厄介なんですけど、でも自分の中に存在するフィルターを自分で覗き見て、時に疑いをもって観察して、順応・適応しようとするのは簡単なことではないどころか、とても大変な作業ですよね。
現象学でいうところの「主観と客観は絶対に一致しない」というやつです。
だから学ぶことが大切ですし、だからいろんな考えやアイディアに触れ合って、それを持ち帰って、自分で整理をして、新しくチャレンジしてという環境・機会が成長には求められる大事な要素なんです。
自分自身で未踏の地に足を運んで、そこの風を感じて、そこの食べ物を楽しんで、そこの人に触れ合ってという経験ができたら最高ですが、そうした経験が豊富な人に自分にはない価値観や視点での話を聞ける機会を持つというのも、とても実のある時間と機会なのだと思うのです。
そんなわけで、今回の滝さんとの対談は僕にとっても刺激的な時間でした。海外生活者としての共通項もたくさんあるし、でもまったく違う体験だってしているから、全く違う視点で考えていることもいっぱいあるわけです。面白いですね。
滝さんをはじめ、海外経験が豊富な方との対談は今後も企画していこうと思います。
こちら動画配信申込みの受付は随時行っていますので、ご興味ある方はいまからでもぜひ。
⇓⇓⇓
さて、今回フッスバルラボでは滝さんに以前ナンバー記事用に行った話で興味深かった内容をアップします。海外生活への順応ってどうするの?どうやって適応するの?そこでどんなことを学んだの?というのが詰まっています。
▼ 海外生活への順応
—タイの環境で順応するためにどうしていてました?
滝 最初のころは、僕もすぐに怒っちゃって。「もう二度とやらないし、二度ととタイにも来ないよ!」というほど腹立たしかった。そんな環境だったのが12年ごろからプロ化に向けてどんどん変わってきたんですね。
チェンライユナイテッドも09年創立で11年にはタイリーグに昇格。昔のJリーグ創設期みたいなブームがきて、そのころから選手の意識もどんどん変わってきましたね。僕がタイに復帰した14年には、「時間守れ」とか「練習まじめにやれ」とか言わなくても、当たり前にやるようになっていたんですね。
僕はタイにいて我慢強くなりました。言いたいことあったとしてもそこでいわずに一呼吸おいて、今言いたいことは明日言おうと思って。そして明日になったら「もういいや」ってなるんですよ(笑)。そこをうまく自分で消化できるようになったので。
あとは「どうすればみんなが動くかな」ってすごく考えるようになった。僕も若い時は自分がストレス発散するためにばって怒鳴っちゃったりしたことがあったけど、「ああ、僕は物事を解決しようとしていなかった」と反省することがありました。
だから問題が起こって確かに自分はいらいらしてるんだけど、「じゃあこの問題を解決するにはどうしたらいいんだ???」っていうのをすごく考えるようになりましたね。
まず怒りを抑えて、どうしたら動いてくれるのかを落ち着いて考える。
頭ごなしに言ったら反発するだろう。だから例えば「すごく困っている」という風に話はいって、「どうしたの?」と聞いてもらえるような空気を作って。
「こういうことがあって今心配してるんだ、これでチームを勝たせられるのか」って、一緒に悩んでもらう。そうしたら、「そうか、それは困ったね。じゃあさ…」ってなれば一緒に動いてくれる。
その辺のきき方やコミュニケーションの取り方はタイの人たちにすごく成長させてもらいましたね。
(残り 3393文字/全文: 5448文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ