中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】コロナ禍第2波到来。家でできる手軽な気分転換といえば料理ですよね

こんにちは!水曜無料コラム担当のゆきのです。

既に日本でも報道されている通り、ヨーロッパに本格的なコロナウィルス感染拡大の第2波がやってきています。ドイツはその中では比較的感染が抑えられているほうではありますが、それでも大人数で集まることは禁止され、サッカーの試合も再び無観客になり、飲食店の営業時間が短縮されるなど、夏にいったん緩和された各種の制限が逆戻りしつつある今日この頃です。先週のコラムをアップしてからわずか数日で、予想通りフライブルクの市街地でもマスクが義務化されました。

また、今週月曜日には”トイレットペーパー”がTwitterのトレンドワード入り。春のような払底ぶりではありませんが、一部の店ではトイレットペーパーが売り切れ、買いだめを行う人の姿や、空になった棚の写真がSNSで拡散しています。下は再度の買いだめを報じるドイツのニュース専門局ntvのツイート。

 

大手スーパーマーケットチェーン・アルディは公式アカウントで「買いたいだけどうぞ!」というメッセージとともに大量の在庫の写真をアップしました。

そんな中、ドイツの公立校は10月中旬から下旬にかけて12週間の秋休み(時期や期間は州によって異なります)に入ります。ドイツはカロリーベースで食料自給率9割を超える農業国。昔、学校を休みにして子どもに家の農作業を手伝わせていた頃の名残りが秋休みなのだと聞いたことがあります。日本の田植え休みや稲刈り休みのようなものですね。

もちろん、多くの農作業が効率化された現代では、秋休みの意味合いも変わりました。今では、新年度の慌ただしさが落ち着いたところで一度まとまった休みを取って、11月・12月に向けての英気を養うためのお休みと考えられています。ただ、果物の収穫(特にワイン用のブドウなど)など未だに人の手が中心になっている農作業もあり、長男はいずれワイナリーの家の友人のところに行ってバイトをしてみたいそうです。

我が家の子どもたちは来週が1週間のお休みですが、今日のコロナ禍の中ではレジャーにも出かけづらく、イベントも少ないのが残念な現実です。本来であれば晩夏から秋にかけてのドイツは様々な秋祭りが催される季節。最も有名なのはミュンヘンのオクトーバーフェストですが、それ以外にもビール祭り、ワイン祭り、地域の特産品の収穫祭など、様々なイベントを秋晴れの下で楽しめるはずの時期です。今年はそれらがほぼ全て中止となってしまっています。

春のロックダウンの時も、数少ない気晴らしといえば家でちょっと手の込んだ料理を作ることだったよな……と、まだそれほど古びていない記憶が早くも蘇る今日この頃。本日のコラムではそんなドイツの秋の味覚をご紹介します。ヨーロッパ旅行に行くことも難しい今の状況ですが、日本の読者の皆さん、手軽なレシピで秋のドイツ旅行気分を味わってみるのはいかがでしょうか?

[タマネギケーキと新ワイン]

ドイツでは”Zwiebelkuchen“ „Neuersüßer“などと呼ばれるこの組み合わせ。ドイツ語でケーキを意味する”Kuchen”という単語は、このような甘くない軽食やおつまみにも使われることがあります。タマネギケーキは塩味の生地に炒めたタマネギやベーコンを乗せてオーブンで焼いたシンプルな料理なのですが、生地の味や食感、タマネギの味つけなどレシピは地域や家庭によってバリエーション豊かで様々。私がドイツで初めて食べたタマネギケーキは、鉄板に直接生地を伸ばしてタマネギとチーズを乗せたピザのようなものでした。今日ご紹介するレシピはイーストの入ったサクサクのタルト生地に大量のタマネギ炒めをつめて焼いたものです。以前ポテトサラダの記事でも紹介したみちえのパン工房さんのレシピで作りました。

泣きながら大量のタマネギをスライスする覚悟と、生地からピザを作れるくらいの技術(ホームベーカリーや多機能ミキサーがあれば余裕です!)があれば簡単に作れる1品です。焼きたて熱々も、翌日冷めて味がなじんだところもどちらも美味しいですよ。

そしてタマネギケーキに欠かせないのが新ワイン。ワイン用に収穫して絞ったブドウの果汁を、発酵が少しだけ始まった段階で頂く飲み物です。晩夏の出回り始めの頃はまだ甘みが強くフルーティーで、アルコール度数も低く、微炭酸のブドウジュ―スのような感覚。秋が深まるにつれて、次第に発酵も進み、度数も上がり、よりワインに近い辛口の味わいになります。どちらにしても口当たりがよくすいすい飲んでしまうので、うっかり飲みすぎると大変なことになります。

タマネギケーキと新ワインは、日本酒とおでん、ビールと枝豆に匹敵するような鉄板の組み合わせ。家庭で手作りする他、レストランやカフェで味わうこともできますし、スーパーでも手に入りますが、地元の朝市で農家の方から自家製のものを直接購入したり、秋祭りの屋台で購入して外でつまむのも乙なものです。

今年開催されなかった多くの催し物が、来年は復活していることを強く願いつつ、新ワインで乾杯!

今週もお読みくださりありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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