石井紘人のFootball Referee Journal

一級審判員研修会レポート

25日、JFA(日本サッカー協会)ハウスでJリーグなどの試合を裁く一級審判員の研修会が行なわれた。集まったのは一級審判員と女子一級審判員、トップインストラクターの総勢169名。会議室ブチ抜きの初の試みだ。

 

まずはJFAの大仁邦弥会長の簡潔な挨拶からスタートした。

 

 

「初めて会う方々(審判員)がほとんどですね。このように、国内のトップレフェリーの皆様に、ご挨拶できるのを喜んでいます。

日本サッカーは、この20年で飛躍的に進化しました。現在の日本の成功は、育成の成功と言えるでしょう。それは、レフェリーの皆様のお力も大きい。皆様の国内外での活躍、試合環境の改善、トレーニングに真摯に取り組まれる姿勢が大きく寄与している。

JFAは、世界のトップ10に向け、『強い選手の育成』を掲げています。これは審判と技術、両方の目標です。世界を基準にし、日本で通用するだけではダメだと。判定が国内と世界で違うのであれば世界では戦えない。

もちろん、一番は、選手や指導者が意識することです。ただ、皆様、審判員も関わってくる。

現代サッカーは、レフェリーにとって非常に難しい時代です。そんな中、日本は、アジア、そして世界大会でも結果を残している。これは誇るべき素晴らしいことです。今後も、高い意識で取り組んで頂きたい。

ルールを守れないという選手、これはサッカーだけではなく、ルールを守れないようでは人としても社会では通用しません。こういった意識は、Jリーガーになってから教育するのではなく、小さい時の環境が重要です。ズルはダメなんだと、厳しく接していく。レフェリーは子供の未来を担うと思っています。“なでしこジャパン”はトップになった。だからこそ、今後は、女性の競技者、指導者、審判員も増やしていきたい。

最後に、審判員の皆様も、プレイヤーになって欲しい。選手としてもプレーすることで、色々なものが見えてきて、きっと役に立つはずです。」

 

 

続いて、JFA審判委員長である上川徹司会のもと、新・一級審判員たちが簡単な挨拶を行なった。

 

 

・山岡 良介 (ヤマオカ リョウスケ)東北・秋田県 31

 

 

「一級として経験を積み、秋田県のサッカーに寄与したい。出会いと絆を大切にやっていきます。」

 

 

 

・川俣 (カワマタ シュウ) 関東・茨城県 30

 

 

「一級審判員の自覚、重みを持ちたい。審判の重要な役割である、サッカー文化の醸成をしたい。」

 

 

 

Michael Assefaw Gebreslassie 関東・茨城県 30

 

 

「筑波大学ノ(アフリカからの)留学生デス。ヨロシクオネガイイタシマス。」

 

 

 

・鶴岡 将樹 (ツルオカ マサキ) 関東・東京都 29

 

 

「一級審判員として、やっていきたい反面、重くのしかかる立場も感じています。チャレンジを忘れず、頑張ります。」

 

 

 

・俵 元希 (タワラ ゲンキ) 関東・東京都 25

 

 

「とにかく一生懸命やっていきます」

 

 

 

・大坪 博和 (オオツボ ヒロカズ) 関東・神奈川県 33

 

 

FBRJ注目の主審。確か元JFL得点王です。

「レフェリーを始めて数年ですが、神奈川県サッカー協会、関東、JFAのご好意でこの立場までこられた。この後、関西に移籍しますので、宜しくお願い致します。」

 

 

 

・高寺 恒如 (タカテラ ノブユキ) 関東・神奈川県 33

 

 

「メンタルを強化し、強いレフェリングをします。」

 

 

 

・大矢 (オオヤ ミツル) 北信越・新潟県 30

 

 

 

・熊谷 幸剛 (クマガイ ユキタカ) 北信越・新潟県 25

 

 

「クマと呼んで下さい。一級の自覚を持ち、日々精進してきます。」

 

 

 

・鈴木 規志 (スズキ ノリユキ) 東海・三重県 27

 

 

「一日一日を大切に日々成長したいです。」

 

 

 

・大原 謙哉 (オオハラ ケンヤ) 関西・大阪府 24

 

 

「数少ないかもしれないチャンス(?)を、しっかりと掴めるように。」

 

 

 

・野村 (ノムラ オサム) 関西・兵庫県 23

 

 

 

・角田 裕之 (スミタ ヒロユキ) 中国・島根県 34

 

 

「新一級では最年長ですが、新人らしく元気にハツラツやります。」

 

 

 

・堀 格郎 (ホリ カクロウ) 中国・岡山県 27

 

 

「私は名前が珍しいので、覚えやすいかなと。品格の格に、太郎の郎で、格郎です。」

 

 

 

・内田 康博 (ウチダ ヤスヒロ) 中国・山口県 31

 

 

JFA一、可愛い嫁を持つ内田です(笑)」

 

 

 

・池田 一洋 (イケダ カズヒロ) 四国・愛媛県 28

 

 

「審判活動の目標だった一級、大切な一年にしっかりとのぞみ、カテゴリーをあげていきたい。」

 

 

 

・津野 洋平 (ツノ ヨウヘイ) 九州・長崎県 27

 

 

 

 

一級審判員不在の県は、基準を持ち帰るため、県協会の代表者が参加していたのが印象的だった。新一級審判員たちと司会である上川の簡単な“和む”やりとりを終えると、上川の挨拶が始まった。

 

 

「今日は後ろにメディアの方々がいらっしゃられています。メディアの参加は嬉しく思います。日々、我々がどのようなことをやっているのが見て頂けるのは助かります。

まず、一級審判員には7名の国際審判員がいますが、全員がアジアのトップクラスです。アジアの国際審判員で、全員がトップクラスにカテゴライズされているのは日本だけです。これは誇るべきことだと思います。」

 

 

西村雄一や家本政明だけでなく、高山啓義や東城穣の中堅、そして次代となる佐藤隆治たちの高い能力を物語るエピソードといえる。

 

 

「さて、Jリーグを担当する審判員ですが、私が現役時の2006年は39歳でしたが、今年は37歳です。」

 

 

個人的には理想だと思う。

 

 

「さてフットボールカンファレンスでは様々な話があがりました。

チーム、選手ばかりではなく、審判や指導者も世界のトップ10でありたい。そのためにも、大仁会長もおっしゃられましたが、選手としてプレーし、選手の痛みを理解することも大切でしょう。

①「スピーディー、フェア、タフ」

②「“世界に出て初めて”経験をなくす」これは、ホールディングやクイックスタートがそうですよね。世界大会に出ると、ホールディングをとられる。“なぜ?国内では、これでOKなのに”となってしまう。クイックスタートもそう。これは日常を変えなければいけない。日常の大切さ。審判が日常を作るのです。

③「ハイプレッシャーのゲーム」こちらは映像を見てください。(映像後)ご覧の通り、狭いエリアでのプレーが多くなる。これはスペイン同様に、日本の強みであります。この狭いエリアでの見極め、そしてアドバンテージが重要になる。そうなると、アクチュアルプレーイングタイムが90分間フルのゲームになる。スタミナ、高い集中力、戦術的理解度が必要です。

 

いままでの取り組みの成果は、「手の不正使用」「クイックスタート」です。

残る課題は、「プレーを続ける」「不正、怠慢なプレーを許さない」ことです。

 

指導者たちに強く言われたのが、「Jリーグを見て、育成年代の子供たちが真似をしてしまう」と。育成から課題を直して欲しいという強いリクエストがありました。もちろん、グレーな基準の中でのさじ加減はOKです。カードなのか注意なのか、などは。ただ、強い姿勢でのぞみましょう。

シミュレーションの撲滅も必要です。

公正公平にやりましょう。見えたものに正直に。見えないものにも正直にです。それが、公正公平になり、接触プレーの正しい判定に繋がります。

また、ソーシャルネットワークサービスなども日常にありますが、皆さん、自覚を持ちましょう。割り当てのことなど、公表してはいけない情報があります。」

 

 

この後、一級審判員への筆記テストが行なわれ、吉武博文・U-17/U-15日本代表監督と山本浩・法政大学スポーツ健康学部教授の講演へと続いた。この日を含め、三日間の研修が行なわれ、その後、強化審判員たちは静岡で行なわれるJ-Stepでのプロフェッショナルレフェリーたちの合宿にのぞむ(取材予定です)。

 

 

最後に特筆しておきたいのは、全参加者に山岸昂司レフェリーフィジカルトレーナーが作成したトレーニングDVDが渡されたこと。この辺に話もうかがいたい。

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