石井紘人のFootball Referee Journal

無料コラム:川崎フロンターレ×ヴィッセル神戸戦、サガン鳥栖×清水エスパルス戦など【審判委員会レフェリー記者ブリーフィング前編①「競技規則への理解が深まり始めた」】

今週月曜日に更新予定だった隔週コラムですが、昨日行われた『2018 3 JFA レフェリーブリーフィング』をレポートします。

 

上川徹JFA(日本サッカー協会)審判委員トップレフェリーグループシニアマネジャーによると、試合後にクラブが判定に疑問を持った際に行われるレフェリーアセッサーとの意見交換会の回数は少なくなっているという。

それは、レフェリーの判定の精度が上がったのと、意見交換を繰り返すことでクラブ側の競技規則に対する理解やレフェリーの難しさを理解してくれているというのもあるのではと上川は推測する。

その意見交換会で多く議題にあがるのがハンドリングについて。以前は意見交換会でのハンドリングの割合が36.8%だった。今回は28%に減少したが、議論となるハンドリングについてメディアにも説明が行われた。

 

J210節のツエーゲン金沢×大分トリニータ戦の46

「ボールが手や腕に当たり、意図があればハンドリングです。

その意図を見極めるのに、ボールとの距離やスピード・避けられることができるのか。予測ができるのか。腕の位置が自然な位置なのか。ボールの方向に腕が動いているか。

このシーンでは、シュートを打つ選手と腕に当たった選手の距離が8mくらい。シュートはスピードがあります。白の選手の腕の位置も不自然ではない。体を伸ばした時に、多少は腕も離れます。その腕にボールが当たってしまった。そこに意図があると考えるのは厳しい。

(不用意なのでは?という声もあるが)不用意というのは、ハンドリングではなく、コンタクトの時に考えます。たとえば、キッキングですね。ハンドリングは不用意という考え方ではありません。」

 

ルヴァン杯5節のサンフレッチェ広島×ガンバ大阪戦の31

「肘には当たっています。ただ、非常に近い距離から蹴られています。そして、腕は大きく広げられている訳ではなく、肘の位置もニュートラルです。ボールも逆側に来ると予想している動きですよね。ただ、これが、あわよくばといった感じで腕が広がっていれば、ハンドリングです。」

 

J112節の湘南ベルマーレ×柏レイソル戦の77

「腕には当たっています。ですが、スライディングで体が倒れる時に、腕が地面につくのは自然です。腕がボールの方向に動いている訳ではありません。

以前、今みたいな腕の当たり方をした後に、ボールが相手に渡ったらハンドで、味方ならハンドじゃなくてもというクラブ側の声もありましたが、競技規則的にはそういった解釈はないんですよね。」

 

J113節のサガン鳥栖×清水エスパルス戦の10

「これは難しい判定で、レフェリーがPKをとった理由は、ボールが体を通過した後に、腕に当たっている。つまり、ボールのコースが分かった上で、腕を出した。意図的だと見ました。充分に理解はできます。

ですが、距離は近い。体も正対ではなく、タックルにいっているので腕が体から離れてしまう。決して高く上がっている訳ではない。ボールも速く、そこに腕を出したとは見えません。映像で見ると、ハンドリングの適用はしないのが妥当だと思います。クラブ側にもそうお伝えしました。」

 

ルヴァン杯6節の浦和レッズ×サンフレッチェ広島戦の66

「これは今までの映像とあきらかに違いますよね。

距離は近いですが、腕の位置があれだけ高く上がってチャレンジすると、利益を得ようとしていると考えられます。これはハンドリングです。」

 

J110節のジュビロ磐田×V・ファーレン長崎の902分のスライディング

「一番のポイントはボールに触れているかどうかです。ボールにチャレンジ、プレーしようとしているのは分かるのですが、ボールに触れられずに、相手の足を引っかけてしまっている。」

 

J112節の名古屋グランパス×セレッソ大阪戦の56

「ここもポイントは同じでボールに触れているかどうか。しっかりと触れた後で、相手とコンタクトしていますが、ボールにプレーしようとした中でのサッカーであれば起こる接触です。コンタクトも不用意ではありません。」

 

J111節の川崎フロンターレ×ヴィッセル神戸戦の51

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■レフェリーブリーフィング番外編:記者会見後に読者の声を届ける

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