川本梅花 フットボールタクティクス

【レビュー】相手が嫌がるプレーをした #丹羽一陽【無料記事】J3第24節 Y.S.C.C.横浜 2-1 #ヴァンラーレ八戸 #yscc

【レビュー】相手が嫌がるプレーをした丹羽一陽
目次

記録に表れないミス
劣勢になってから見せる積極性
相手が嫌がるプレーをした丹羽一陽

明治安田生命J3リーグ第24節 Y.S.C.C.横浜 2-1ヴァンラーレ八戸

明治安田生命J3リーグ第24節、Y.S.C.C.横浜対ヴァンラーレ八戸が10月24日にニッパツ三ツ沢球技場で行われた。八戸のフォーメーションは「3-6-1」。八戸がYS横浜にミラーゲームを挑む可能性もあると思っていたが、実際にはYS横浜が2トップを置いた「3-5-2」ではなく、八戸にシステムを合わせてきた。

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記録に表れないミス

32分と37分、八戸の失点は記録に表れないミスから生じている。

YS横浜は32分、高い位置を取って八戸のサイドを支配する右WB船橋 勇真にパス。八戸の左ST坪井 一真が船橋とマッチアップする。船橋が左足にいったんボールを置くと、坪井は右足に上体を傾ける。船橋はその瞬間、一気に右方向へとボールを出して坪井を置き去る。切り返された坪井は慌てて追うものの時すでに遅く、船橋はフリーになってゴールライン近くまでドリブルをしてニアサイドにクロス。ンドカ チャールスが走り込んでゴールを決めた。

YS横浜は37分、ペナルティエリア内にいる左ST神田 夢実へとクロスを上げる。近石 哲平がヘディングでクリアを試みるも、ボールは頭上を超えていく。神田には坪井がマークに付くものの、この時の船橋はペナルティエリア内でフリー。船橋は神田から出されたパスに走り込んでゴールを決める。YS横浜の2人に対し、八戸は6人がボールサイドに寄ったため、逆サイドが手薄となっていたのだ。

劣勢になってから見せる積極性

YS横浜は前半、両WBが高い位置を取ってプレー。ボール支配率も70パーセントとなっていた。先手を取られた八戸は守勢に回る時間が長くなり、攻撃をする前に体力を消耗。打開策は、相手よりも先にWBが高い位置を取ることでディフェンスラインを上げ、相手陣内でボールを回すしかない。葛野 昌宏監督の指示だと思うが、八戸は40分過ぎからディフェンスラインを高く設定、DFが敵陣のセンターサークルまで進んでいく。

八戸は前半アディショナルタイムに1点を返すも1-2で黒星。しかし完敗という内容ではなく同点、さらには逆転できる可能性もあった。後半のポゼッション率は八戸の60パーセント。リードしたYS横浜が引いたため、八戸がボールを持てたという見方もできるが、八戸がディフェンスラインを高く設定したことで、YS横浜が引かざるを得なかったことも事実だろう。

こうしたプレーを劣勢になる前、試合開始から見せられるかが今後の課題となる。

相手が嫌がるプレーをした丹羽一陽

左WB丹羽 一陽が覚醒している。思い切って得意のドリブルで前進、相手が嫌がるエリアへと進入。中村 太一の得点を演出したのも、丹羽のクロスからだった。オフサイドの判定によりPKを取り消された場面も、積極的にドリブルでペナルティエリアに入った結果、相手が耐えられず、丹羽のユニホーム引っ張って倒したことから起きている。守備でも船橋とマッチアップを繰り広げ、見応えのあるプレーを披露していた。

相手が嫌がるプレーは、ボールを奪われてカウンター攻撃を食らうことと紙一重だ。しかし勇気をもって挑まなければ何も起きない。戦うとは何か、チャレンジとは何か。そうしたことを考えさせるプレーだった。

川本梅花

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