川本梅花 フットボールタクティクス

【サッカー観戦術/監督采配】こんな監督の采配はダメです(1)-練習でやったことのないシステムを実戦でやらせてしまう-

【サッカー観戦術/監督采配】

こんな監督の采配はダメです(1)-練習でやったことのないシステムを実戦でやらせてしまう-

監督が、試合中にシステムを変更することはよくあります。たとえば、後半30分過ぎて1-0で勝っている際に、そのまま逃げ切りたいと考えたときなどです。手段として監督は、フォワードとディフェンダーを交代させたりします。

ピッチに入った交代選手が、腕を上げて指を広げて「5」の数字を示しました。これは、最終ラインの4バックを5バックにしろというメッセージです。監督の指示にしたがって、最終ラインを5枚にして守りを固めます。「人数を増やしたからこれで逃げ切れる」と思ったその瞬間、前線の人数を減らしたことで、前からプレスが掛からなくなって、相手が自由にボールを持てるようになってしまいました。

5人に増やした最終ラインは、相手の圧力に負けてしまい下がるだけになってしまいます。最終ラインの選手と中盤の選手の距離が空いて、バイタルエリアで相手にボールが通ってしまいます。その結果、失点してしまって1-1のイーブンになってしまいました。

「ああ、こういう展開があったな」と思い起こされる方がいるはずです。試合中にシステムを変更するのは、よくあることなのですが、問題は、「練習でやったことのないシステムをやらせる」ことにあります。

実際に、私はあるクラブの試合を取材していて、試合終了前にシステムを変更して負けたゲームを見たことがあります。試合後に選手に「あれはやったことがあるシステムなの?」と聞くと、「いやー、練習でもやったことがないんですよ」と答えてくれたことがありました。

監督の直感で、「やれるだろう」と考えて、トレーニングでやったことのないシステムを試合でやらせてしまう。監督は選手たちの信頼を失うし、選手たちは「できなかった」という敗北感から自信をなくしてしまう。これは、最もやってはいけない采配です。

監督の準備不足を、結果的に選手になすりつけたことになってしまいます。

やったことのないシステムをいきなり実戦でやらせてしまう采配をする監督には注意しましょう。

川本梅花

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