川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】サイドバックの前方をふさがれた場合は?【無料記事】J2第16節 #水戸ホーリーホック 0●1 #レノファ山口FC #mitohollyhock #renofa

サイドバックの前方をふさがれた場合は?

2019明治安田生命J2リーグ第16節
水戸ホーリーホック 0●1 レノファ山口FC
http://www.mito-hollyhock.net/games/14151/

6月1日の土曜日、明治安田生命J2リーグ第16節、水戸ホーリーホック対レノファ山口が、ケーズデンキスタジアム水戸で行われた。

ホームの水戸は、長谷部茂利監督が指揮を執る。水戸は「4-4-2」のフォーメーションで、中盤にボックス型のシステムを採用。霜田正浩監督率いる山口は、4月28日に行われたJ2第11節・ツエーゲン金沢戦で0-2と黒星を喫して以降、1分け4敗となっている。山口は前節・京都サンガF.C.戦[0●2]で「4-3-3」を採用。今節・水戸戦はディフェンスラインを3枚にした「3-4-2-1」で臨む。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

「4-4-2」(水戸)と「3-4-2-1」(山口)の対決。この構図は、先日掲載したJ1第14節、川崎フロンターレ対浦和レッズの分析記事でも取り上げている。ここで注目すべきは、4バックのサイドバック(SB)と3バックのウイングバック(WB)の対決である。どちらが高い位置を取って攻められるか。ここに集約される。

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3バックの山口は、水戸SBにプレッシャーを掛ける方法を採る。水戸がビルドアップを始め、SBにボールが渡った時、スイッチを入れる。結果、水戸SBは常に山口のプレッシャーにさらされる。特に、左SBの志知孝明に対し、山口は厳しく対処してきた。進むべき道が確保されない限り、SBは前進できない。山口は、ことごとく志知が進むべき道をふさいできた。

この場合、サイドハーフ(SH)がSBを助けなければならない。左SHのレギュラー・木村祐志は、J2第13節で負傷。山口戦ではベンチ入りすらしていない。山口戦の左SHは普段、右SHを務める茂木駿佑だった。SBに対するプレッシャーを徹底する山口。志知が前進できるようにするため、山口WB高木大輔をケアするとか、志知がボールを持ってセンターラインを越えた段階で、思い切ってポジションを中央に移すとか。茂木には、いくつかやり方があったはずだ。しかい若い茂木には、それを打ち破るだけの経験が不足していた。

試合のポイント

水戸ホーリーホックは、サイドバックが前進できる道を作れなかった。

似たような場面で思い出されるのが、酒井宏樹が所属していた頃の柏レイソルだ。右SBの酒井はボールを持って前進しようと試みるが、前方が渋滞しており、思うように進めない。すると当時も指揮を執っていたネルシーニョ監督は、右SHの選手を思い切ってトップ下のポジションに移動させた。この采配により、酒井の前方はひらけ、前進することができた。相手がやり方を徹底してきた場合、それを打ち破るには、こちらも大胆な策が必要となるのだ。

ビルドアップの際にボールがSBに渡ったら圧力を掛ける山口に対し、水戸はシステム変更を行う。

MF前寛之をアンカー役とした「4-1-4-1」に変更。ビルドアップの際、SBを経由せずボールを前方に運ばせようと、ディフェンスラインからアンカーを経由してボールが進むようなシステムにした。この結果、状況に多少の変化は見られた。

しかし、筆者がこの試合で一番疑問に感じたのは、選手たちの身体が重そうに見えたことだ。数名の選手は、動きに精彩がない。チーム全体のコンディション調整に何か問題があったのではないか。山口が水戸対策を採ってきたことよりも、そちらの方がより大きな敗因に思えた。

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