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【インタビュー】#田向泰輝「(#水戸ホーリーホック との違いは)徳島は戦術の中でプレーする」【無料記事】J2第13節 #柏レイソル 1-0 #徳島ヴォルティス

田向泰輝(徳島ヴォルティス)「徳島は戦術の中でプレーする感覚」

2019明治安田生命J2リーグ第13節
柏レイソル 1-0 徳島ヴォルティス
https://www.jleague.jp/match/j2/2019/051211/live/

5月12日(日)に三協フロンテア柏スタジアムで行われた明治安田生命J2リーグ第13節、柏レイソル対徳島ヴォルティスの後、徳島DF田向泰輝選手に話を聞いた。話題は、昨季まで所属していた水戸ホーリーホックと、現所属・徳島の違いなどに及んだ。

――水戸ホーリーホックから徳島ヴォルティスに来て、もうすぐ半年になるね。チームには慣れた?

田向 チームには慣れました。でも、戦術がね……毎週変わるので、それに対応するのが難しいですね。

――今日の試合は、ビルドアップに入る攻撃時は4バックにして、守備時は5バックにしているの?

田向 基本的に守備時は最終ラインを3枚にして、相手の3トップを「見る」という感じです。

――攻撃参加に関して、サイドバック(SB)としてあまり高い位置を取らなかったけど、あれは戦っている中での判断なの?

田向 そうですね、守備から攻撃の際は後ろが3枚からスタートすることになるので、そこから相手を剥(は)がしながらボールを進めるのですが、スタートが高い位置ではないので、僕が高い位置を取るのは難しいです。左SB(内田裕斗)が高い位置からアプローチを掛けます。スタート時には、左が前にいるので、どうしてもバランスを取ると、リスク管理を考えて、なかなか高い位置を取れないのが現状です。

――プレーして攻撃に関するストレスはないの?

田向 守備でエネルギーを使い過ぎて、攻撃には正直パワーを出せないです。

――監督からは「もっと高い位置を取るように」という指示はないの?

田向 サイドの選手(藤田征也)が前に出ていったら「もっと高い位置を取っていいよ」とは言われています。でも現実的には、柏の攻め残りの選手(FWオルンガなど)がいて、彼ら(攻撃陣)は個の力があるので、後ろを同数(1対1または2対2)にするリスクはできないです。そこを考えると……。まあ考え過ぎって言われれば考え過ぎなんですが……。リスク管理のところは誰かがしないといけないので、僕が残るしかないです。

――ずいぶん守備に気を遣い、飛び出していける時でも我慢しているという印象だったけど、そういうわけだったんだね。

田向 はい、そういう風になっています。正直「もっと前で仕事がしたい」という気持ちがあります。「自分がやりたい」ということよりも、「自分が求められていること」をやらなければいけない。現状、無失点の試合がほとんどないから、失点をしないことが第一の課題になっています。その部分を考えて、いろいろチャレンジしているという感じですかね。

――徳島にはタケル(岸本武流)をはじめ、元水戸の選手が多いよね。一緒にプレーしていて「やりやすさ」はあるの?

田向 確かに元水戸の選手が多いですけど、水戸とはやり方が全く違います。徳島は戦術の中でプレーしていくという感覚です。

――「戦術の中でプレーしていく」か。おもしろい表現だね。前から思っていたけど、タム(田向)は表現が豊かだね。

田向 水戸は、システムが変わることは、ほとんどありませんでした。選手も固定して戦うことが多かったため、選手間ですり合わせがやりやすかった。極端な話、一度でも一緒にプレーしてしまえば「この時は、この選手はここにいる」と分かる。逆に、そこがデメリットではあったのですが。相手チームに研究されやすい。前をふさがれた時に、次の手がなかなか出しづらい場面がありました。良い点は「やり方を成熟させていく」ということがあります。今季の水戸は、昨季からやってきたことが積み重なって、チームの良さが出て首位(J2第12節終了時点)にいるのだと思います。

――徳島のリカルド ロドリゲス監督は、どんなサッカーをやろうとしているの?

田向 基本的にはボールを持ちたい。水戸はリスクを冒さず、危ないところは前に大きく「蹴る」というプレーを選択していましたけど、徳島は極力ボールを保持する。相手が攻撃してくる場面でも、ボールを持つことで攻撃を「防ぐ」という考え方ですね。

――前から「ほかのチームで力を試したい」と話をしていたけど、実際に新しいチームに来て、どういう感じなの?

田向 正直に言って、いろいろ難しさを感じています。(水戸を)出たことが正解だったのか、そうじゃないかは、いまの段階で判断できることではありません。ただ、いまの段階で言えることは、いろいろなサッカーを試される、いろいろな戦術をやってくれる監督が、自分にとっては「良い」のです。

――なんかさ、顔つきが変わったね?(笑)

田向 そうですか(笑)。(水戸に)残っていれば、また違うものを得られたかもしれないですが、現状維持を求めていたわけではなく、苦しんだり、難しいこともあったりという覚悟を持って新しいチームに飛び込んだので、それが自分の成長につながると考えています。まあ、いい時期だけではないですが、自分がサッカー選手としても人として、広がれるチャンスだという手応えはあります。

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