川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】#奥山泰裕(@okuyasu11)「チームの方向性を示せる存在になりたい」【無料記事】#ラインメール青森(@reinmeer_aomori)

奥山泰裕「昨季のような結果では終われない」

第21回日本フットボールリーグ(JFL)が3月17日に開幕した。ラインメール青森FCは開幕節・ホンダロックSCと1-1で引き分け。第2節・ヴェスパ大分戦で3-1の勝利を収め、今季初白星を飾った。ホーム開幕戦は、4月7日に青森県総合運動公園陸上競技場で行われる第4節・奈良クラブ戦となる。

ラインメール青森は2017シーズン、JFLを年間通算順位2位で終えた。しかし、翌2018シーズンは同10位に終わる。今回はチームの背番号10、DF奥山泰裕に昨季を振り返ってもらった。

奥山は宮城県出身、1985年11月21日生まれの33歳。2008年、東北学院大学からジェフユナイテッド市原・千葉に加入する。主にジェフリザーブズ(JFL)でプレーした後、2009年7月に当時JFL所属のガイナーレ鳥取へ移籍。2011シーズン、チームのJ2昇格によりJリーグデビューを果たす。

2015シーズン、東北社会人リーグ1部所属のラインメール青森に移籍。チームのJFL昇格に貢献することになるが、当時の心境については2017年に掲載したコラムを読んでもらいたい。

【ノンフィクション】ラインメール青森の背番号10番 ―笑ったウイングバック奥山泰裕―【無料記事】

システム変更をしなければ、どうなるか分からなかった

――2018シーズンの自分のプレーについて総括をお願いします。

奥山 2017シーズンはウイングバック(WB)で出場する機会が多かったのですが、昨季は中盤のボックスの右サイドハーフ(SH)とか、サイドバック(SB)での出場でした。SBは何年もやってないポジションだったため、チャレンジした形になりました。自分では「全くダメだった」というわけでもないし、3得点を記録。アシストもありました。でも、もっとできたとは思います。

――チームとしての総括はどうですか?

奥山 一昨季よりも順位が下がってしまいました。厳しい戦いの中で、苦戦を強いられた感じがあります。シーズン中に、システムも4バックから3バックに変わりましたから。ファーストステージは手探り状態というか。個人の特徴も出せないまま進んでいった感じがします。その中で、なんとか勝点を拾っていったという印象ですね(8位)。セカンドステージは、少し熟成度が上がって勝点を上乗せできると考えていたのですが。結局は思っていように結果が出なかった(13位)。

(16位の)コバルトーレ女川が(東北社会人リーグ1部へ)降格しましたけど、僕たちも「降格するかもしれない」という危機感の中にいました。それで4バックを止め、現実的に勝点を取り行くために3バックへ変更したのだと思います。ラインメールに限らず、どのチームにも降格の危機はあるわけです。だからシステムの変更は良かったと思います。あのまま4バックにチャレンジしていたら、どうなっていたのか分からない状況でしたから。最後の数試合は再び4バックになりましたが、3バックに変更して粘り強く守備をして、勝点を取れたのです。いまも、あの時を振り返って、そう思います。

――奥山くんにとって、ターニングポイントになった試合は?

奥山 (ファーストステージ第14節)アウェイのFC今治戦[3〇2]ですね。2得点しましたから。自分自身、今季の中で一番の出来だったと思います。

――チームとしてのターニングポイントとなった試合は?

奥山(セカンドステージ第8節)コバルトーレ女川戦の前に3バックへ変えたことです。コバルトーレとの試合は、4-0で勝利を収めました。チームとしてできたように思います。むつ運動公園陸上競技場(青森県むつ市)で開催されて、お客さんも結構入ってくれました(634人)。前半の早い時間帯に点数が入って、CKでも追加点が入りましたから、気持ち的にも楽になりました。

この試合前まで、失点が続いていました。でも、この試合はディフェンスがしっかりしていたため、バランスを崩してまで前に上がることをしませんでした。この試合は全員が「勝ち切らないといけない」というメンタルを持って戦っていたと思います。

――前監督のクズさん(葛野昌宏)と現監督の望月達也さんとでは、サッカーの何が変わったの。

奥山 望月さんはしっかりボールを持ってやりたいという考えがあります。「選手の自主性」ではないのですが、「蹴ってはダメ」とは言っていなくて、裏が空けば裏を狙うし、相手の最終ラインが高くなかったら、蹴らないで繋(つな)いでいこうというサッカーです。そこの調整は、選手に任せるというスタイルですね。

クズさんはしっかり自分たちの型にはめ込んでいくスタイルです。1回ボランチにつけたら、そこからフリック気味でとか、ダイレクトでペナルティエリアの角にしっかり落とし込んでいく。それをシャドーやSHがクロスを上げて、ペナルティエリア内に誰かが走り込んでいく攻撃パターンです。

――昨季最後の6試合は1勝5敗、15失点を喫した。選手の自主性に重点を置いていることが問題なのでは?望月さんのサッカーは選手の質が高くないと難しくない?今季も継続をするのだろうけど……。

奥山 一番難しいサッカーにチャレンジしていると思います。昨季はずいぶん選手が変わり、一昨季よりは質の高い選手が入ってくれました。一昨季は「俺はこういう選択をしたから」という選手がいました。そのことを、みんなが共通の認識として持てていれば良かったのですが、そうではなかった。

僕は、シーズン最後にスタメンを外されてベンチで試合を見ていました。ベンチの指示とピッチの選手のやっていることが違うことがありました。ある選手に試合後「ベンチからの声は聞こえてた?」と聞いたら、彼はこう答えました。

「聞こえてました。でも自分はこっちの方がいいと思って、指示とは違うことをやりました」

ピッチにいる選手全員が、彼と同じ認識でプレーしているのなら問題ないのですが、若い選手にとってベンチからの声は「道しるべ」にもなっています。「この時にこう」と臨機応変に変えられたらいいのですが、実際には相当のキャリアを持たないとできませんから。

――今季は奥山くん自身、どんな風に取り組もうと思っているの?

奥山 チームがJリーグ百年構想クラブ参加の申請を行いました。クラブがJ3昇格をちゃんと考えてくれていることが分かります。ライセンスを取得できても、結果が伴っていなかったら昇格はできない。ですから昨季のような結果では終われません。自分としては、しっかとピッチに立って、バッさん(河端和哉)みたいじゃないですけど、選手に対してチームの方向性を示していけるような選手に、自分自身一皮むけて、チームを引っ張っていく存在にならないといけないと考えています。

#川本梅花

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ