川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】 #奥山泰裕 「練習からもっと厳しさが出てきたらいい」 #ヴァンラーレ八戸 戦後のインタビュー #reinmeeraomori #jfl

「練習からもっと厳しさが出てきたらいい」

開幕戦から厳しい戦いを強いられているラインメール青森。監督がかわり選手も大幅に入れかえられた。昨シーズン経験した勝利の甘味を思い出せない。そうした中で、5月6日の13時、ラインメール青森はライバルチームのヴァンラーレ八戸との青森県ダービーに臨んだ。

観客数は1337人。たくさんの観衆の前で激しい戦いが繰り広げられた。

試合後に、奥山泰裕選手に話を聞いた。

また本サイトでヴァンラーレ八戸の秋吉泰佑選手にも戦いの感想を聞いているので、そちらも合わせて読まれたい。

https://www4.targma.jp/baika/2018/05/11/post1409/

試合結果と得点者

ラインメール青森(0-2)ヴァンラーレ八戸

66分 穂積 諒

68分 金 弘淵

得点シーンは、以下の「JFLチャンネル」で確認できます。

https://freshlive.tv/jfl_channel/209554

さらに青森は、5月13日に八戸市にあるダイハツスタジアムで「NHK杯第71回青森県サッカー選手権大会」の決勝戦に挑んだ。対戦相手は、八戸を破ったブランデュー弘前FCである。試合は、青森が5得点を奪い勝利する。3年ぶり2回目の優勝を飾り、今季のチーム目標の一つであった天皇杯出場を手に入れた。

——厳しい戦いが続いているね。まず、ヴァンラーレ八戸戦を迎えるにあたって、試合前はどんな気持ちだったの。

奥山 (5月3日に行われた)前節のソニー仙台FCとは、いいところなく0−3で負けてしまったんです。過密日程の中での試合でしたから、八戸戦までなかなか修正する時間もありませんでした。まあ、八戸戦は厳しい戦いになる、とは予想できたんですが。前半を終えて、ハーフタイムでのロッカールームでは、ボールが思っていたよりも動かせていたので、チームの中では「これはいける!」という声が上がるほどに自信に溢れていました。そうした流れを継続できなかったところがもったいなかったですね。

クズ(八戸の葛野監督)さんは徹底したロングボールを蹴ってくるサッカーをやってくる。そのことはわかっていたんですが、ちょっと八戸の圧力に負けてしまった部分があるのかな、と思います。

——後半になってから2点続けて入れられてしまったんだね。

奥山 最初の失点がセットプレーからだったんです。セットプレー1本でやられたというよりは、それまでの流れがあまりよくなかった。後半になって、ずっと押し込まれてしまったんです。前半にできていたようなボールの動かし方とか、そういうのが封じられて、自分たち主導でできなくなってしまった。流れを変えるために相手の裏にボールを出すとか、やり方はいくもあったんです。それができなかった。すべてにおいて悔やまれる失点でした。

——チームは今季ここまで、3勝3負3分だよね。上昇気流になかなか乗れない今のチーム状況をどう感じている?

山 JFLのチームは、メンバーがあまり変わらないじゃないですか。だから、チームカラーがどのクラブにもはっきりありますよね。チームとしての戦術を徹底して落とし込むことができます。メンバーが変わらないからできることですよ。それに反して、うちらは半分以上のメンバーが変わってしまった。ましてや、やるサッカーも変わっています。やっぱり、徹底した戦術を持っているチームには、すぐに対抗するのは難しいですよ。今は、チーム全体が産みの苦しみという状態です。困った状態の時に立ち返れるところ。難しい状況になった時に戻れるところ。そうした時に、選手たちが「じゃあどうする」となったなら、「こういうやり方で持ちこたえよう」というものが、まだチーム全体として足りないんだと思います。

——監督がやりたいサッカーがあって、一方で選手がやれるサッカーがある。戦術は選手の質に合っているのかどうかがポイントになるよね。いくらボールを大切にして保持するサッカーをやろうとしても、選手がそれを理解して実践することは、そう容易いことではないよ。

奥山 監督が言っているのは「ボールを大事にするけど、裏に蹴ったり、相手のプレッシャーを剥がして、裏に一発ロングボールを出してもいい。蹴るなと言っているわけではなく、どんどんいろんなアイデアを出していい」と言ってくれているんです。今、選手に問われているのは、ショートパスもあるし、ロングボールもあるよ、というところの瞬時の状況判断力というか、決断力だと思うんです。八戸戦でも後半になって相手の圧力に負けて押し込まれてしまう。

僕は「一度裏にボールを出すからFWを走らせてくれ」とゲーム中に言うんですけど、それができないんです。普段から「こうした状況ではこうする」というイメージを持ってトレーニングをやっていないから、今までやってきた「クセ」が出てしまう。まずルックアップしてFWとか前線の選手を見るんじゃなくて、自分の手前の選手を見てしまう。それで悪循環にハマってしまうんです。これは、前線の選手である僕から見てですよ。後ろの選手からすれば、前線の選手はこう動いてほしい、という要求は当然あると思います。そこはこれからのコミュニケーションで埋められるところです。いくつもの選択肢がある中で、どれを選ぶのかの判断は、選手である自分たちに求められているんです。

ーーそれはなかなか難問を出されたね。

奥山 そう、一番難しいことなんです。ショートパスもあるし、ロングボールも蹴っていいんだけど、その時その時にベストな選択を選手がしないとならない。だから、すごいレベルの高いサッカーをやろうとしているんです。前線の選手は、裏があるから走り出しているわけです。でも、後ろからボールが来ない。あるいは、後ろの選手がボールを蹴ろうとしても前線の選手が走っていない。そこをフィットできるまで、落とし込んでやっていかないとダメなんですよね。

——八戸戦を前に望月達也監督は、何か話していたの。

奥山 こういうことを話してくれました。「ダービーでいつもより盛り上がっている中で、スターティングメンバーで昨シーズン出ていない選手もいる。中には硬くなったりする選手もいるかもしれない。緊張して硬くなってミスしてもいい。それを楽しめるような気持ちでチャレンジしていこう」。

 

——ハーフタイムで監督は、なんて話していたの?

奥山 「ほぼパーフェクトだった。こっちにもチャンスはある。続けられるかが問題だ」と言っていました。結果的には、僕たちは思うように続けられなかった。ただ、前半はホントに、けっこういいボールの動かし方ができたんじゃないかな、と思います。前半もそうですけど、八戸は圧力を強めてロングボールをどんどん蹴っていたんです。だから後半も、「立ち上がりは注意しよう」と声かけはもちろんしていたんですが、その圧力から逃れることができなかった。

 ——その対策として監督は、どのような指示を出したの?

奥山 「圧力を回避するためにロングボールを使うのもあるぞ」と監督は試合後に話していました。僕は、後半に反対側でプレーしていたので、試合中の指示は聞こえませんでした。

 ——昨年までの指揮官であるクズさんは、奥山くんに試合前何か話をした?

奥山 試合前にクズさんが「頑張り過ぎなくていいからな」と冗談ぽく言ってきました。僕自身、八戸との対戦は楽しみにしていました。力んだり緊張したり硬くなったりはなかったですね。前線には昨年のチームメイトで知っている選手がいましたから。それに、クズさんのチームとの戦い自体を楽しみにしていました。

ーー試合後に望月監督からどんな指摘をされたの。

奥山 監督は「ゴールに向かうパワーが足りなかった」と。最近は、そういうところを強化するトレーニングを取り入れて落とし込んではいるんですが。

 ーー青森はシュート数が3に対して八戸がシュート数15。シュート数の開きはどうして生まれたんだろう。

奥山 相手陣地にボールが運べていないからです。ロングボールを使うにせよ、ショートパスにせよ、攻められて自陣でボールを持っている時間が長いので、必然的にシュートの数は少なくなってしまいました。数字だけでは見えて来ないものがあって、うちのシュートがポストに当たったりとか、カウンターで浜田(幸織)が抜け出してギリギリオフサイドになった場面があったんです。前半は決定機はうちの方がありました。

 ともかく、選手の中で戦術が徹底できていない。自分たちラインメールは「こういうサッカーをやるんだ」というものが確立されていないんです。最近の失点は、セットプレーからの失点が多いんです。八戸戦の時も酒井(大登)に最初に触られているんです。もっと厳しく対抗していかないと、八戸戦のような失点を繰り返していまう。

昨年は、ボールを取ったら大きく前に蹴ってラインを上げるやり方をしていました。割り切っていた部分があるんです。今年のチームは、ボールを取った後に繋ごうとして相手から波状攻撃を受けてしまうんです。取った後でも繋げるようならば繋ぐ。無理やりタッチラインにボールを蹴り出すとかしていないんです。

「ボールを奪った後に蹴れ」と言われたらみんなできるんです。去年のクズさんのサッカーをやれと言われたらできる。新しく入ってきた選手たちはできると思います。そこで「蹴れ」じゃなくて、「繋げ」と言われたら、さっきも話題になりましたけど、実は難しい。困った時にタッチラインに蹴るんじゃなくて、「繋ぐサッカー」にチャレンジしている最中ですから、今すぐに結果が出ることは難しいんですが、目指すべきサッカーのやり方ではあると思います。そのためにも、チーム全体として練習からもっと厳しさが出てきたらいいんですが。

ーー望月監督にはどんな印象を持っているの。

奥山 個人を尊重してくれます。頭ごなしに言わない。プレーヤーに選択肢を与えてくれます。だから、一人ひとりの判断が求められているんです。選手は、ワンプレー・ワンプレーで責任を持たないといけない。 

ーー天皇杯出場をかけた試合があるね。弘前との戦いだけど。

奥山 天皇杯出場は、今季の目標の一つです。八戸戦での前半の内容を継続できたなら負けることはありません。

川本梅花

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