関西のダークホースが地域CLでも優勝できた理由 監督・美濃部直彦が語る「飛鳥FCの真実」<3/3>
■ひたちなかで敗れた強豪に京都でリベンジ!
──昨年の地域CLについて、振り返っていただきたいと思います。ひたちなかでの1次ラウンドでは、VONDS市原FC、FC刈谷、そしてブランデュー弘前FCと同組。これ、かなりしんどいグループですよね。
美濃部 僕もそう思ったんですよ。VONDSは間違いなく強い。ブランデューも18試合で98得点、2位と11ポイント差で東北を制しています。そして刈谷は、経験とテクニックがある。それで僕、大会直前にXで「楽しんでチャレンジしてきます」「3連敗でも怒らんといてね」みたいなポストをしたんですよ(苦笑)。
──ところがフタを開けたら、弘前には3-2で競り勝ち、VONDSには0-1で敗れたものの、刈谷には2-0で完勝して、ワイルドカードでの決勝ラウンド進出を果たします。ターニングポイントは、やはりVONDS戦での敗戦だったのでしょうか?
美濃部 そうですね。初戦でせっかく勝ったのに、VONDSには終了間際に素晴らしいクロスからヘディングで決められて、試合後はみんながっくりした感じで戻ってきたんです。もう大会が終わったみたいな雰囲気だったので、僕はその時にホワイトボードをバーンと叩いて「お前らの戦いは、もう終わっちゃったの?」って、初めて怒ったんです。
こんな雰囲気で明日の試合に臨んだら、対戦相手に失礼や! 俺らは、この大会を楽しむために、ここに来ているんだろう? これだけレベルの高い舞台で戦えて、自分の力を試すことができるんだから、明日は勝ち負けに関係なしに楽しもう──。そんな話をしたんです。そうしたら、その日の夕食後には全員が「明日、やってやろうぜ!」という雰囲気に変わっていましたね。
──決勝ラウンドは、ほぼ地元の京都。そして初戦の相手は、1次ラウンドで対戦しているVONDSでした。この時点では、わりと「行けるんじゃないか」という感覚があったのでは?
美濃部 ありましたね。ただし、気負っていたわけではなく「同じ相手に2回も負けたくない」みたいな感じでした。そして戦術的にも、分析済みで戦いやすかった。そうしたら早々に先制して、さらに相手が退場で1人少なくなったので、ゲーム展開的にはウチが有利に進めることができました。
──初戦のVONDS戦では、飛鳥が2-1で勝利して周囲をざわつかせたわけですが、続く福井戦では0-3と完膚なきまでにやられてしまいました。ここで再び、選手たちはガクンと落ち込んだのでしょうか?
美濃部 それが面白くて、決勝ラウンドは中1日あるじゃないですか。ミーティングで選手にこう言ったんです。「今日は2本のビデオを用意している。ひとつは、明日対戦するジェイリースの分析ビデオ。もうひとつは昨日の福井戦の反省ビデオ。どっちから先に見たい?」って。そうしたら、彼らが選んだのは反省ビデオ。それを見て落ち込むんじゃなくて、前向きに反省して明日に生かそうという雰囲気に、選手のほうからなってくれたんです。
──1次ラウンドと比べて、明らかに選手のマインドに成長が見られますね。結果として、3日目のジェイリース戦は2-1で勝利して2位以上が確定。その日の第2戦では、VONDSと福井がとんでもない試合展開を見せて、VONDSが6-3の大逆転勝利を果たします。スタンドからご覧になって、いかがでしたか?
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