「街なかスタジアム」だけが理由でなかった市長選立候補 小谷野薫(元サンフレッチェ広島代表取締役社長)<3/3>
■宇品になったら「最低10年はスタジアム問題が塩漬けになる」
──新スタ建設に向けた署名活動ですが、集まった37万579筆を県と市に提出されたのが2013年1月27日でした。小谷野さんが社長に就任して、最初のお仕事だったわけでしょうか。
小谷野 そうです。僕が50歳の誕生日だったから、よく覚えています。
──なるほど。そして4月には、広報活動にシフトしていく「エバンジェリスト活動」を展開していきます。これは小谷野さんのアイデアでしたか?
小谷野 「署名運動までは自分がしっかりやったから、そこから先は頼むよ」という、前社長の本谷さんからの申し送りを僕が具体化したものでした。ただし先ほどもお話したように、このときはサッカー側にも宇品案の支持者がいたり、積極的でなくても「宇品で仕方がないか」と考える人もいたりという状況でした。それでスタジアム建設協議会が始まる前から、宇品のことを事前に調べていたのですが、交通渋滞以外にもいろいろ問題を抱えていることがわかりました。
──具体的には、どんなことでしょうか?
小谷野 土壌汚染であったり、地盤が弱かったり、もちろん港湾業者の反対もあったり。仮に宇品に建設が決まったとしても、多方面から「最低10年はスタジアム問題が塩漬けになる」という話も聞いていました。宇品を推している人たちは、それが目的なのかと勘ぐりたくなるくらいの振る舞いをしていましたし。僕が先んじて「旧市民球場跡地に街なかスタジアムを」と検討協議会前に打ち出したのは、そうした背景がありました。
──宇品で決まっていたら、およそ「街なかスタジアム」ではないものが完成するか、プロジェクトそのものが進まなかった可能性さえあったということですね。そうした中、この年(2013年)の5月26日にサンフレッチェが「市民球場跡地に複合型新スタジアムを要望する」と宣言しています。これは小谷野さんの意志ですか? それとも久保さん?
小谷野 久保会長と僕で話し合いました。政治的な圧力はあるかも知れないけれども、広島の街づくりのためにも、われわれがはっきり主張しないと何も進まないと思ったからです。
──政治的な圧力という話でいうと、県と市が宇品案を望んでいたそうですね。
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