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【無料公開】バスを囲みたくなる前に考えてほしいこと 相良純真(URAWA BOYS創設者)✕ロック総統<4/4>

SNSをもっとうまく使えるサポーターが増えてほしい

──今の相良さんのお話って、ちょっと規模感は違いますけど、総統のテーゼである「今そこにあるサッカーを愛せ!」に通じるところがありますよね。

総統 浦和っていう日本一大きいクラブと、ホンダロックSCのように吹けば飛ぶような実業団とでは、自ずとベクトルは違うわけですけど、「サッカーが好きだ」という根っこの部分で同じなんだということは、今日お話を伺って理解できました。

 たださっきも言いましたけど、浦和ってサポーター文化をリードしていく存在なんだから、いろんな語り部がクラブの良い伝統というものを伝えていかないと。それがSNSなんかでネガティブなことばっかりが広まっていくのって、どうなんだろうとは思いますね。

相良 僕が希望しているのが、SNSをもっとうまく使えるサポーターが増えてほしいということですね。というのも、「なんで自分のクラブの悪いところを世界に向けて発信するんだろう?」という疑問がずっとあったんです。あるいは「誰々が怪我をした」とか「誰々のパフォーマンスが良くない」とか広めてどうするんだと(苦笑)。対戦相手を騙すための情報だったらともかく。

総統 ウチなんか「監督が出張で試合に来てない! どうやらタイ工場に行っているらしい」なんて書けば、ネタになりますから(笑)。そういう遊び心がもっとほしい。

相良 そうですよね。羨ましいです。ウチのサポーターは何でも真に受けて、ネガティブにとらえてしまうところがあるから。

──浦和の場合、サポーターとしてのネットリテラシーを磨くことが、これからの課題かもしれませんね。

相良 ウチがそれをできたら、たぶん他のクラブでもできるはずなんですよ。もしかしたら、Jリーグから他のスポーツファンにも広がっていくかもしれない。さらには日本全体がポジティブな方向に進んでいって、経済が活性化するとか、若者が前向きになるとか(笑)。

 少なくともネガティブな話題が蔓延するよりかはいい。ぶっちゃけ、Jリーグで最大級の観客数を誇っているウチが、ものすごくネガティブなのが問題。Jリーグ全体をポジティブに変えていくのは、実はウチ次第だと思っています。

総統 松江シティってクラブ、知ってます? わかんないでしょ。中国リーグ所属で、お客さんが1000人も入らないような小さいクラブがあるんですけど、そこのサポーターなんかも「僕たちは浦和レッズみたいになりたい」とか言っているわけです。松江だけじゃなくて「レッズみたいになりたい」と願っている田舎のクラブって、全国にいっぱいある。

 それって「六本木でベンツに乗りたい」と言っているようなもんですよ。でも、実際は六本木のベンツが一番、行儀が悪いじゃないですか(笑)。そうじゃなくて「あのベンツに乗っているオーナーはなんてカッコいいんだろう!」と思われるような存在。そういうリーディングクラブに、浦和さんにはなってほしいんですよね。

──とりあえず、必要以上にネガティブな感情を撒き散らすことを、サポーター各自が控えること。そこから始めていけば、何かが変わっていくかもしれないですよ。

相良 たとえばバスを囲むということに関しても、僕らがやっていたのは、あくまでパフォーマンスだったんですよ。それが最近は本気でやってしまっているから、かえって選手たちに伝わっていないというところがあるように思います。

──つまりバスを囲む本来の目的は「サポーターが怒っていることをわかってもらうため」であって、選手やスタッフにダメージを与えるのは本意ではなかった、ということですよね? でも先日のケースは、サポーターもネガティブな感情を抱えたままだし、選手もどれだけサポーターの心情を理解できたのか微妙なところだったと思います。まあ、これはあくまでも部外者から見た意見ですけど。

総統 今度バスを囲むんだったら、「サポーターがバスを洗車する」というのはどうですかね(笑)。

相良 なるほど、デッキブラシを持ってね(笑)。

総統 そうそう!「何か棒を持っているぞ、あいつら暴れるんじゃないか」と思っていたら、すげえ勢いでバスがきれいにされちゃって(笑)。そうすれば選手も「こんなにきれいにしてもらって、俺たちも頑張らなきゃ」って思うんじゃないですかね。それこそSNSで動画を流したら、もしかしたらカーワックスの会社がスポンサーに付くかもしれない(笑)。

──生卵を投げるより、よっぽどいいですよね(笑)。あらためまして相良さん、ロック総統、今日はありがとうございました。

<この稿、了>

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