【アカデミーレポート 】ショートインタビュー:村上佑介V・ファーレン長崎U-18新監督~目指すはトランジション・ゼロ。村上監督の挑戦~
「満開の花、咲きました!」
2017年11月11日、リーグ2位以内を確定させたJ2第41節終了後のセレモニーで、キャプテンとして高らかにJ1昇格を報告してから2年と数カ月。トップチームが沖縄キャンプへ出発した日、村上佑介は新監督として諫早市久山港の諫早市サッカー広場で、U-18の指導を行っていた。2018年にアカデミーコーチ、2019年にU-15コーチだったことを考えれば大胆ともいえる人事だが、そこにクラブの大きな期待を感じることができる。現役時代に気持ちを前面に出しチームを鼓舞していた闘将は、指導者として何を考えて、何を目指すのか話を聞いた。
-U-18の監督としてまず目指したい目標は何ですか?
「それはもう当然、プレミアリーグ参入ですね。そこを目指してやります。そこを目指すには、練習の質もプレミアリーグのレベルじゃなければならないと選手にも伝えています。そういう高みを目指して、高いモチベーションでやっていけたらなと思います」
-今年のU-18はどんなチームで、どう指導していきたいと思っていますか?
「スーパーな選手がいるわけじゃないので、チームとして戦うことになると思います。なので頭の中で考えを整理したり、すり合わせたりすることが大事になる。僕も結構細かいところがあるんで(笑)、そういうところを選手たちにすり込んでいきたいですね」
-トレーニングでも選手たちに判断力を求めるシーンが多かったですね。
「守備も攻撃も優先順位を間違えないようにしたいんでですね。今日は守備の練習だけとかではなく、相手が怖いのはやはりダイレクトプレーだから、そこもやるというふうにして、選手が試合が判断してくれるようにトレーニングを積み重ねたいと思っています」
-監督として戦う初のシーズンですが、どんなチームを作っていきたいと思いますか?
「V・ファーレンのアカデミー全体が目指すサッカーから逸れちゃいけないので、自分のやりたいサッカーはある程度抑えていく部分もあるんだと思いますけど(笑)。アカデミーが目指すサッカーが大前提でありながらも、人間関係の密度を上げていきたいですね」
-チームとしての一体感や、コミュニケーションを重視するということでしょうか。
「個人競技ではないので、年齢関係なく話して、お互いのビジョンを埋めていって、より良いサッカーにしていきたい。コミュニケーションはもっと取らないと。そこは年齢関係なくやれよと、選手たちにも言っています。誰かが得点を決めればみんなで喜ぶ、守備のときにみんなでしっかり守って、守りきったら一緒に喜ぶ。そんなチームを作っていきたいです」
-その上で、チームとして目指すスタイルは?
「チームとしてはトランジション(攻撃→守備の切り替えと守備→攻撃への切り替えの間)・ゼロを目指しています。サッカーの切り替えの4局面(攻撃から守備・守備・守備から攻撃・攻撃)があるんですけど、そうじゃなくて攻撃から守備も、守備から攻撃も全部一つの局面としてトラジション・ゼロを目指したい。だから常にみんなが考えながら、すぐにボールを取りに行く、すぐに出ていく、すぐに切り替えるというサッカーを見せたいなと思います」
-村上監督が指導者として影響を受けた監督などはいますか?
「指導の仕方とか考え方では、愛媛FC所属時代(2014-2015年)に指導を受けた木山(隆之)(現 ベガルタ仙台監督)さん、石丸(清隆)(現モンテディオ山形)さんの影響を受けていますね。メンタル面では柏レイソル所属時代(2008-2011年)の監督だったネルシーニョにも影響を受けています。そういう監督さんたちに影響を受けたので、自分たちから考えて、アクションを起こしていく・・決して個々のレベルが高くなくても全員でやっていくというところを目指しています」
-まもなく新監督として最初の公式戦である『九州クラブユースU-17(2/16、2/23、3/1 )』が開催されますが、この大会での目標を聞かせてください。
「もちろん優勝を目指しているんですけど、そこでも優先順位を間違えたくはないですね。ポゼッションに偏るチームじゃないですから、背後にスペースがあればアクションを起こさなければいけないし、ゴール前では泥くさく守らなきゃいけない。V・ファーレンらしく・・ハードワークというか、そういう言葉にまとめるのは好きじゃないんですけどね(笑)、そういうところを出していきたいと思います」

取材日のトレーニングでは普及インストラクターの前田悠佑さんも参加

Jリーグでの実績も豊富な原田武男コーチ、小森田友明コーチ
reported by 藤原裕久