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アカデミーレポート:(無料記事)令和6年度 長崎高校サッカー新人戦総括~ポテンシャルが楽しみな新人揃いの大会は国見が制す~

1月18日に開幕した『令和6年度(第59回)長崎県高等学校新人体育大会サッカー競技(男子)』が1月26日に決勝戦を迎え、国見高校が2年連続26回目の優勝を飾った。

「まだ新チームになったばかりで、わからないことも多くてまだ手探りというか、選手の特徴や組み合わせを観察している状況です」

国見の木藤健太監督が準々決勝後に語ったこの言葉は、新人戦に参加した全ての新チームに通じるものだろう。公式戦における戦術、連携、能力全てが未知数なのが新人戦であり、だからこそ、ポテンシャルが見えやすい大会でもある。

今大会の特徴は強豪校の多くが新2年生(現1年生)を積極的に起用していた点だ。国見の堀川暖馬、正木翔汰、鈴川虎之助や、長崎総科大附の一宮優聖や竹嶋優、九州文化の田栗跳夢、水田凛太朗といった選手が主力として活躍していた点はかなり頼もしい。その上で原田高虎(国見)、市川太陽(長崎総科大附)といったエースの活躍も目についた。

国見の新10番 原田高虎

優勝した国見はスタメンの約半数が新2年生だがスキルの高い選手が多く、判断早くボールを回したときのチーム力はかなり高かった。一方で絶対的なフィニッシャーがおらず、チャンスは多いがアタッキングサードに課題を残し、どの試合でも主導権を握りながらスコア上は接戦という展開が多かった。エースの原田をどう生かし、どう得点力を上げていくかが今後の鍵だろう。決勝でも堀川の動きが落ちると長崎総科大附にボールを持たれることが増えた中、中盤の守備をいかに構築するかも大事になりそうだ。

総附の新10番 市川太陽

準優勝の長崎総科大附は昨年に比べると戦力的に小粒な面があり、選手権本大会が終わってからの新チーム移行で時間がなかったこともあり大会中は苦戦することが多かった。その中で準決勝の鎮西学院で競り勝ち、決勝の前半も国見に圧倒されながら後半に徹底した走力と献身的な寄せで主導権を握り返したのは素晴らしかった。エース候補の市川が終了間際に同点弾を決めたことも含めて、決勝後半の戦いはチームが成長するキッカケになったのではないだろうか。

九州文化の田栗跳夢(背番号13)と国見の本田郁恭(背番号20)

準決勝で敗れた九州文化も素晴らしかった。個々のスキルに加え、ボールを動かすときの判断も早く、国見との準決勝は大会屈指の好勝負だった。攻撃では小田琥太郎、守備では松本士苑という軸がいることで安定感もあった。今年の九文は間違いなく県内で優勝争いをしてくるだろう。準々決勝で国見に敗れた創成館は松﨑聖斗と平塚俊輔のCB2枚が安定していたものの、攻撃に移ったときのバランスを欠くことがあった。このあたりをどう改善するかが今後の鍵となりそうだ。

創成館の松﨑聖斗の守備には安定感があった

昨年に続きベスト4進出を果たし、準決勝でもあと一歩まで長崎総科大附を押し込んだ鎮西学院は今年も安定した実力を発揮しそう。昨年の選手権予選に続き、新人戦の2回戦で九文にPK負けして上位進出がならなかった長崎日大も、インターハイでの雪辱を期しているに違いない。

今年も長崎の高校サッカーは実に楽しみである。とりあえず、来月に佐賀県で予定されている九州新人戦で国見と長崎総科大附がどのような活躍と成長を見せるのか。まずはその戦いぶりに注目するとしよう。

reported by 藤原裕久

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